アメリカンフットボールで動く巨額マネーの波は高校生にも押し寄せている。写真はアメフトの頂点に立つスーパーボウルの試合(写真:AP/アフロ)

(水野 亮:米Teruko Weinberg エグゼクティブリサーチャー)

米大学スポーツの市場規模は約2兆円

 米国の大学スポーツ、特にアメリカンフットボールやバスケットボールは国民の間で最も人気が高い。その人気ゆえに多くのメディアや小売業界を巻き込み、巨大市場を形成している。

 一説によると、大学スポーツの市場規模は推定年間144億ドル(約2兆円)、なかでも花形のアメフトは40億ドル(約5500億円)に達するという。

 そんな米国の大学スポーツに、選手の「プロ化」の波が押し寄せている。日本でいえば、東京六大学野球や大学ラグビーの選手が巨額な収入を得るというイメージである。大学ではアマチュアスポーツが当たり前の日本では想像しがたいことがここ米国で起こっている。

 これまで大学スポーツを束ねる全米大学体育協会(NCAA)は、頑なに大学のスポーツ選手が収入を得ることを禁じてきた。その一方でNCAAや大学は活躍する有名アスリートのおかげで巨額な収入を得ていた。

 試合のチケット、選手や背番号の入ったTシャツやトレーナーなどのグッズ販売、試合のテレビ放送などが主な収入源であった。当のアスリートにとっては大学の奨学金を得ることが唯一のメリットだった。

「収入を得たいのであれば、日本のプロ野球選手のように高校卒業後にストレートでプロ入りすればいいではないか」との意見もあろう。