写真:WavebreakMedia/イメージマート

(小林偉:放送作家・大学講師)

スポーツを盛り上げる名曲たち

 突然ながら、皆さんは「JOCK JAMS(ジョック・ジャムス)」ってご存知ですか? 

「JOCK」というのは、アメリカのスラングで、人気アスリートのこと。

「JAMS」は、この場合「観客を呼び込む」といった意味のスラングで、それを掛け合わせた一種の造語なんですが・・・

「サァ、お待ちかねのあいつらの登場だぜ! 盛り上がって行こう」みたいな気分を煽る曲ということです。無理矢理、訳すとすれば、スポーツ・ソング、スタジアム・ロック、アリーナ・ソング・・・要するに「スポーツ盛り上げソング」みたいなことになりますかね。スポーツの試合が始まる前などに会場で流されている、ノリの良い、観客を盛り上げるような歌・曲のことですね。今年2月の北京冬季オリンピックなどでも、スノーボード競技中継などの際、試合前の会場でガンガンに流されていたのをお聴きになった方もいらっしゃるのでは? アレです。

 この「JOCK JAMS」、歌詞が直接スポーツに関することという必要は全くなく、盛り上がれるかどうかが基本。アメリカでは、「JOCK JAMS」というタイトルのコンピレーションCDがシリーズ化してリリースされているほど、人気のあるものでもあります。

 2017年にはアメリカの音楽誌「ビルボード」が、この「JOCK JAMS」のオールタイム・ベスト100曲を選出しています。

 ちなみに、どんな曲がトップ3に入ったかというと、第3位は・・

●「HIP HOP HOORAY/NAUGHTY BY NATURE」

 これは、ノーティ・バイ・ネイチャーというラップ・グループが1993年にリリースした曲。♪HEY HO~というフレーズが印象的ですので、聴けば「ア~、あれか」と思われる方も多いと思います。

 ちなみに、この曲はFIVE STAIRSTEPSというバンドの「DON'T CHANGE YOUR LOVE」という曲をサンプリングしています。

 また、この曲はMVを映画監督のスパイク・リーが演出していることでも知られ、当時の人気ラッパーがゲストに登場したりしたことでも、話題になった曲でもあります。

 アメリカン・フットボールの試合で、ひいきのチームがタッチダウンを決めたり、バスケットでダンクを決めたりしたときなんかに、皆でさっきの♪HEY HO~ってやるのが、アメリカではお馴染み。そんなこともあって、いろいろなスポーツの会場などで試合前のBGMの定番になっているんですね。今年2月の北京オリンピックでも、アイスホッケーやスノーボードの会場なんかで流れていたのを耳にしましたよ。