“Isn’t it good, Norwegian wood?”

 何度も耳にしていてなじみ深い洋楽の名曲の数々。だが、意外と歌詞やタイトルの意味を知らずにぼんやりとしたイメージだけで聴いている人が多い。しかし歌詞やタイトルを翻訳し、そこに込められた物語を知ると、それまで抱いていたイメージとは大きく異なることに気づくはずだ。意味を分かって聴けばこれまでとは違う感動を味わうはずだし、カラオケで歌えば歌に説得力が増すだろう。

やさしく見えて手強いビートルズ

 筆者は2010年からジャズ&洋楽訳詞集「Groovy Groovy ~and all that jazz~」というWebサイトを運営し、英語の歌詞を日本語に翻訳している。「洋楽」といえば、やはりビートルズ(ザ・ビートルズ)は外せない。ということで、ある日ビートルズの翻訳に取りかかった。

 ビートルズの英語はやさしい。歌詞自体は中学校で学んだ英語力でたいていは読める。学校の英語教科書に楽譜付きで歌詞が掲載されるくらいだ。ならば、それを訳すのはさほど手間がかからずに済むだろうと当初は思った。

 が、しかし! その考えは非常にあまかった。表面的に英語を日本語に変換しただけのビートルズの歌はひどく陳腐で、ビートルズにならない。つまり英語を正しく翻訳したところで、その世界観を熟知していなければ、この伝説のロックバンドの名曲は翻訳できないことに気が付いた。

 というわけで、ビートルズの旅に出たのだが、雰囲気で聴いていたこれまでと、歌詞の意味や作られた背景を知って聴くのとでは、やはり印象がだいぶ変わる。今回は彼ら"Fab Four"の数ある作品の中から3曲を紹介しよう。ちなみに“Fab Four”(ファブ・フォー)とはFabulous Fourの略で、素晴らしい4人、という意味のザ・ビートルズの愛称である。

 本文中で紹介する訳詞は曲の一部にとどまる。曲全体の訳詞をお知りになりたい場合は、東エミのジャズ&洋楽訳詞集「Groovy Groovy ~and all that jazz~」(http://ameblo.jp/higashiemi/)を参照してほしい。