写真提供:梅澤聡氏

 ディスカウントストアをチェーン展開するトライアルホールディングス(以下、トライアル)が3月5日、スーパーマーケットの西友を買収すると発表した。2社の(年間)売上を合算すると1兆2014億円、店舗数は585と北海道から九州まで全国的な一大勢力になる。トライアルの西友買収にはどのような効果と課題があるのか。流通ジャーナリストの梅澤聡氏が、業態と立地の観点から解説する。

売上構成比から見たトライアルの課題

 トライアルホールディングス(以下、トライアル)は2024年6月期まで24期連続で増収、売上高は7179億円(2024年6月期)、営業利益は191億円(同)、売上高対営業利益率は2.7%と業界では比較的高い利益率を出している。

 一方の西友も、売上高4835億円(2024年12月期、店舗譲渡した北海道と九州の数字は入らず)、営業利益235億円(同)、営業利益率は4.9%と、格段に高い数字を実現している。

 スーパーマーケット業界では、営業利益率が3%を超えると優良と言われ、関東圏では、ヤオコーが4.9%(2024年3月期)、ベルクが4.2%(2024年2月期)と効率の良い経営を行っている。西友は首都圏をドミナント(商勢圏)としており、効率性から見れば超優良のスーパーマーケットと言える。

 トライアルは前述のように24期連続して増収と順風満帆のようだが、「業態」に着目すると課題も大きいと筆者は見ている。