務安国際空港で着陸に失敗し炎上する済州航空機(写真:YONHAP NEWS/アフロ)
拡大画像表示

韓国史上3番目に犠牲者が多い航空機事故

 10年前のセウォル号沈没事故に匹敵するような大規模な人命事故が韓国で発生した。12月29日午前9時ごろ、全羅南道・務安(ムアン)国際空港で着陸装置(ランディングギア)の故障で胴体着陸を試みていた済州(チェジュ)航空の旅客機が、滑走路の端に位置した防壁にぶつかって爆発する事故が発生、乗客・乗員181人の大半が死亡した。

 今回の事故は、1983年に旧ソ連領空に侵入したという理由で撃墜された大韓航空機007便撃墜事件(死者269人)、1997年に気象悪化でグアム空港近くに墜落した大韓航空機801便墜落事故(229人)に続き、3番目に多くの犠牲者が発生した航空事件となってしまった。

 事故旅客機は済州航空が運航しているボーイング737-800機種の旅客機で、乗客・乗員など181人を乗せてタイ・バンコクを出発、全羅南道の務安国際空港に到着する予定だった。ところが目的地に到着直前になっても旅客機はランディングギアを降ろせず、エンジンに煙を立てながら胴体着陸を敢行することになった。旅客機は胴体とエンジンを引きずりながら約10秒間滑走路を走ったが、速度が落ちず滑走路の端の部分に設置されたコンクリート外壁に突っ込んだ。衝突と同時に旅客機はおびただしい火炎に包まれ、一瞬にして胴体が溶け落ちた。

 飛行機の残骸収拾中に胴体が確認されたのは衝突当時の衝撃によってもげ落ちた最後方部分だけで、奇跡的に救助された2人はこの部分にいた乗員たちだった。一日が過ぎた30日、消防当局は救助された2人を除く179人の搭乗客は全員死亡したと発表した。