尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾をめぐって韓国社会が真っ二つに分断されてしまった。現在のところ、大手の保守メディアまで先頭に立って旗を振る「弾劾賛成派」が圧倒的多数だが、「弾劾反対派」も結集しデモを実施中で、毎週実施される世論調査を見てみると大統領と国民の力党に対する支持率はむしろ少しずつ高まっている。
まるで7年前の朴槿恵政権末期に戻ったような現在の弾劾政局だが、7年前と似て非なるものは弾劾ろうそくデモの雰囲気だ。
専門デモ隊の民主労総などの進歩系団体が「ろうそく文化祭」といった名前でデモの場を設け、そこに自発的に参加した市民によってさらに世論を醸成されていくという点では7年前と全く同じだ。
ただ、7年前の弾劾デモの市民参加者は年齢・性別に大きなばらつきはなく、比較的均等に分布していたが、今回の市民参加者は20~30代女性が全体の3分の1を占めるほどの割合となっている。若い女性市民が主導するだけに、デモの雰囲気も過去に比べて華やかで明るい。彼女たちは“推し”のアーティストの応援グッズを手に毎週広場に集まっては現場を彩り、少女時代の『また巡り逢えた世界』、DAY6の『Time of Our Life』、aespa(エスパ)の『Whiplash(ウィプラッシュ)』などを合唱、デモの現場をK-POPコンサート会場のような熱気にしている。韓国では最近、「弾劾プレイリスト」「弾劾コン」という新造語が誕生したほどだ。
デモ参加者に差し入れを贈るアーティストたち
ファンとのコミュニケーションを大事にしているK-POPスターも、弾劾デモを支援しはじめた。少女時代のユリ、IU(アイユー)、NewJeansなどは、デモに参加するファンのため、現場付近の飲食店やコーヒーショップなどで数百万ウォン分の食べ物と飲みものの代金を前払いしたとファンに告知した。デモに直接参加はできないが行動に出たファンと同じ気持ちという“カミングアウト”であるわけだ。