沈黙さえ許されない雰囲気

 反面、弾劾反対の立場を明らかにしたことで解雇された芸能人も登場した。ミュージカル俳優のチャ・ガンソクは戒厳令直後「戒厳歓迎!」とSNSに書き込んだところ、ネットユーザーから激しい非難を受けると同時に、劇団からも解雇通知を受けた。以後、チャ氏は弾劾反対集会に参加し「左派を擁護すれば意識の高い大俳優になり、右派を擁護すれば歴史を知らないバカ野郎になるのか」と反論している。

 弾劾賛成が大勢の韓国の芸能界では、沈黙さえも攻撃の対象になっている。韓流俳優のチャウヌ、韓国人が最も愛する歌手のイム・ヨンウンは「弾劾に無関心」というだけで、目下、ネットユーザーはもちろん一部のマスコミからも攻撃を受けている。

大統領弾劾票決が行われている時間帯に自分が登場した雑誌記事についてSNSにアップしたことだけで批判を浴びたチャウヌ(写真:Yonhap News Agency/共同通信イメージズ)
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 チャウヌは国会で大統領弾劾票決が行われている時間帯に自分が載った雑誌画面をSNSにアップしたという理由で集中攻撃された。イム・ヨンウンは弾劾デモに賛成する声明を出してほしいというファンの要求に「私は政治家ではない。なぜ声をあげなければならないのか」と反問したところ、弾劾賛成派から猛批判されている。キム・ガプスなどの左派系文化評論家らはイム・ヨンウンに「韓国人としての資格がない」との極端な非難を浴びせている。

「私は政治家ではない。なぜ声をあげなければならないのか」と弾劾デモから距離を置こうとしただけで世間の猛批判を浴びてしまったイム・ウンヨン(写真:Penta Press/共同通信イメージズ)
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 それだけではない。

 X(エックス)には「尹大統領を罷免せよ」という映画人の共同声明に名前を載せなかった俳優たちに対する攻撃が始まっている。声明文に名前を載せなかった俳優たちを「極右主義者」などと非難し、彼らが出演した映画に対する「不買運動」を行われなければならないという主張まで出ている。