老朽化・幽霊化が進む日本のマンション(写真はイメージ)

(山下 和之:住宅ジャーナリスト)

 わが国でマンションの分譲が始まったのは1960年代からで、1970年代以降に本格化した。その頃に竣工したマンションは築50年が経過しているため、老朽化が進み、建て替えの適齢期に差し掛かっている。

 だが、建て替えといってもスムーズにいかない現実がある。このまま放置すれば、ますます老朽化が進み、居住性が悪化するばかりか資産価値は低下する一方だ。

耐震性が足りないまま放置しているマンション

 建築基準法が改正されて、現在の新耐震基準が施行されたのは1981年(昭和56年)。この新基準に基づいて建設された住宅なら、原則的に「震度7」の大規模地震でも倒壊しないことが条件になっているため、ひとまず安心だ。

 だが、国土交通省によると、その新耐震基準に合致しない旧耐震基準のマンションストックが約103万戸もあるという。これらのマンションはすぐにでも耐震診断を行い、耐震性が足りない場合には建て替えたり、それが難しいのであれば耐震補強をする必要があるが、それが簡単ではない。

 国交省が5年に1度行っている『マンション総合調査』(平成30年度)の調査結果を見ると、旧耐震基準のマンションは全体の18.0%で、そのうち、【図表1】にあるように、「耐震診断をしていない」とするマンションが63.7%にも達している。旧耐震基準マンションの6割以上が、耐震性に不安を抱えたまま何ら対策をとれていないわけだ。

 もちろん、耐震診断を行ったマンションもあり、その結果「耐震性がある」と判断されたマンションは13.9%あるが、「さらに詳細な診断が必要」とされたマンションが6.3%、「耐震性がない」とされたマンションも13.9%あった。

 問題なのは、その先である。【図表2】にある通り、「耐震性がない」とされたマンションについて耐震改修の有無を聞いたところ、「実施した」とするマンションは38.1%で、「まだ実施していないが今後実施する予定」が21.4%あるものの、「実施する予定はない」と回答したマンションが38.1%もあったことだ。

 これらの多くは、建物と所有者の高齢化により、耐震性が足りないまま放置されているものと考えられる。