円安は日本の国力が落ちている証左
円安に歯止めがかからない。政府・日銀が円買い為替介入に踏み切ったが、効果は知れている。大本の金融政策を変えない限り円安は止まらない。
それだけではない。もはや先進国から落ちかかっている日本の通貨を買おうなんて誰も思わないから、中長期的にも円の価値はどんどん落ちていく。9月24日の東京新聞で渡辺博史・財務省元財務官は、円安の背景として日米金利差に加えて、〈日本の産業力が落ちているという基礎的条件があり、日本の実力は1ドル=120─125円くらいに弱まっていると思う〉と指摘していたが、まさにその通りだ。
この円安傾向が長期化して円の価値が下がり続ければ、輸入価格高騰による物価上昇に歯止めがかからず、企業業績が圧迫され賃金は上がらず、不況が深刻化する。こうなると不況下の物価高、スタグフレーションである。
そんな目も当てられない状況になりつつある日本で、大きな懸念材料が露呈している。外国資本による「日本買い」である。
すでに水際制限緩和で外国人がどんどん入国し始めている。岸田首相は10月以降のさらなる緩和を表明。10月11日からは入国者数上限を撤廃し、短期滞在ビザの取得免除や個人旅行の受け入れも解禁する。再びインバウンドと外国人ビジネスマンが日本に流れ込んでくる。
最近になって再び増えてきている訪日外国人による土産物爆買いをテレビをはじめとするメディアは事細かに伝えている。浅草や京都で外国人客が土産物や日本製品を大量購入したとか、一人で何百万円も使ったとか。観光業者らにすればホッと一息、これからの巻き返しに期待といったところだろう。コロナ前の状況に近づいてきたかのように見える。
しかし、喜んでばかりはいられない。不気味なのは、今の状況を舌なめずりしている勢力の存在だ。アジア系、欧米系の投資・投機集団や富裕層だ。円安局面で日本の不動産を買い占めようと虎視眈々だ。