1972年2月3日に開幕した札幌五輪(写真:Haruyoshi Yamaguchi/アフロ)

 コロナ禍の北京で冬季五輪が開幕したが、日本では札幌市が2030年の冬季五輪招致に向けた動きを始めている。

 1月26日、札幌市が冬季五輪誘致に向けたイベントを開催した。オンラインでワークショップを開催し、秋元克広市長やカーリングの女子選手が参加し、38人の小学生を相手にトークを繰り広げた。ワークショップは今後一般市民向けも予定されている。

 2月に入ると市が、大通公園に巨大な五輪モニュメントを設置した。五輪誘致に向け機運を盛り上げたいと、昨年の東京五輪の際に札幌に設置されたものを再利用した。

 市は2021年11月に総額最大3000億円の開催経費案を公表、一連のワークショップ開催、そして今年3月中旬にも住民意向調査を実施して、誘致に向けた機運を高めていきたい考えだという。

 ビジネス関係者の期待も高まっている。JR北海道は2030年度の北海道新幹線札幌延伸に伴う札幌駅再開発で建設する高層ビルにマリオットの誘致を発表。コロナ後のインバウンド、五輪誘致を見据えた動きだ。市内は再開発ラッシュで、20カ所以上で工事が行われている。

 人口が520万人を割り込み、地盤沈下が進む北海道にとって、今後の巻き返しには“新庄日ハム”と“札幌五輪”は欠かせないイベントとみる商工関係者は多い。北海道新聞が行った調査では、道内主要企業の64%が誘致賛成だった。市民らの間には反対論もあるが、五輪招致に向けた動きは着々と進みつつある。