「ゴーストレストラン」事業を始めている「ローソン飯田橋三丁目店」

デリバリーサービス拡大からゴーストレストラン事業へ

 コンビニ業界3位のローソンの新たな仕掛けが話題になっている。厨房で調理した料理を宅配専門で販売する飲食店「ゴーストレストラン」事業への本格参入である。

 3月25日、ローソンが開いた「ゴーストレストラン」の取り組みについてオンライン説明会に多くのメディア関係者が参加し、その新たな仕掛けの中身に注目した。

「ゴーストレストラン」とはリアル店舗を持たない業態で、客からアプリなどを通じて受けた注文商品を店内で調理し、デリバリーサービスで届けるシステム。出来立てのおいしい料理を好きな時に好きな場所で食べたい客に、注文後30分から1時間以内に届けるといったビジネスで、Uber Eatsなどのデリバリー業者を利用することで市場規模が拡大している。

 まず発表会では、これまでローソンにおけるデリバリーサービスの展開を振り返った。2019年に都内4店舗で実証実験をスタート。取扱品目は約100品だった。その後コロナ拡大局面のなか、自粛要請、行動制限などの影響でデリバリー需要が高まりをみせていく。そして、2020年8月、デリバリー実施店舗12都府県1000店舗に拡大し、取扱品目も約300品に増えた。2022年2月には45都道府県2903店舗で展開するまでになった。

 その次に放った矢が、ゴーストレストラン事業への参入だ。これまでのデリバリーでは軽食やデザートの提供が中心だったが、今度はローソン店内の調理スペースを活用して、出来立ての食事を提供しようということだ。

 フードデリバリー市場はコロナ禍拡大による巣ごもり需要などで2020年に急拡大し、前年比5割増の6000億円市場となった。その勢いは続き2021年は7909億円となっている(エヌピーディ・ジャパンの外食・中食調査レポート)。

 こうしたなか、苦戦が続く外食業界にとってコンビニ大手のゴーストレストラン参入は、提携企業や商品の共同開発に加わる業者にとっては大きなビジネスチャンスになりうるし、その他の業者にとっては新たなライバルの登場になる。いますぐに大きな影響がという話ではないが、衝撃的なニュースであることは間違いないだろう。