かれこれ2年以上続くコロナ禍で、外食市場は壊滅的な打撃を受けている。特に「3密」の元凶とされ、酒類提供を規制された居酒屋業界の経営難は深刻だ。
日本フードサービス協会の調べによると、居酒屋市場は2019年度に1兆円あまりの市場規模があったが、2020年度に5700億円程度、2021年度には2700億円程度に激減。これによって大手居酒屋チェーンは実に2000店舗以上の閉店に追い込まれた。
そんな苦境続きの中、店舗数も減らさず見事に立て直しを図っている居酒屋チェーンがある。主力の焼き鳥ほかドリンクなど“全メニュー均一価格”を売りに全国615店舗を展開する「鳥貴族」だ。いったいなぜ、逆風のコロナ禍を乗り切れたのか──。鳥貴族ホールディングス(HD)の大倉忠司社長に、アフターコロナの拡大戦略とともに聞いた。(聞き手/中村芳平:外食ジャーナリスト)
コロナ直撃を受けた居酒屋業界
──2020年から続くコロナ禍は、居酒屋業界を直撃しましたね。鳥貴族HDは2019年7月期から最終損益は3期連続赤字。2022年7月期第2四半期では営業利益は18億円の赤字でした。
大倉忠司(以下敬称略):緊急事態宣言やまん延防止措置が繰り返し出されていたので、全店が通常営業できた月は2カ月ぐらいしかありませんでした。休業や時短営業、時短も夜8時や9時までしか営業できませんでしたので、その影響をもろに受けた感じです。仕方がないことではありましたが……。
ただ、協力金をはじめ助成金も拡充されましたので、その点についてはわれわれ外食業界は恵まれていたと思います。同じように影響を受けている観光業とか、外食周りではベンダーさんなどへの助成金はほとんどありませんでしたからね。当社もコロナによって負債は増えましたが、後半1年間でいうと営業利益は赤字でも最終利益は黒字にすることができました。これは協力金のおかげです。