KINTO導入初期頃の都内トヨタ販売店の前(写真:筆者撮影)
  • 自動車保険、税金、メンテナンス費用など込みの使用料を月額払いする、クルマのサブスク(サブスクリプション)。最近、若い世代を中心に認知度が徐々に上がってきている印象があるものの、まだクルマの使い方の主流になっているとは言い難い状況だ。
  • 今後、クルマのサブスクの普及はさらに進むのだろうか?
  • 国内最大手のクルマのサブスクであるトヨタ自動車系のKINTO(キント)が8月30日にオンラインで実施した新サービス説明会を取材し、クルマのサブスクの実情と今後の可能性を探った。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 KINTOのサービス開始は5年前の2019年。以来、順調に申し込み数を増やし2024年7月末までの累計申込み件数は12万5000件に達している。

 この数字をどう評価するかは、人によって見方は分かれるだろう。

 例えば、2024年度のトヨタ・レクサスの国内連結販売台数は199万3000台で、KINTOが過去5年間に積み上げた実績はその6%程度にとどまっている。

 そうした中、今回の発表では、既に導入している「KINTO Unlimited」事業の拡大を明らかにした。

「アップグレード」「コネクティッド」「UI(ユーザーインターフェイス)のデジタル化」の3領域が対象だ。

 アップグレードでは、「プリウス」のUグレード向けに、12.3インチのディスプレイがついたオーディオや、自動パーキング機能であるアドバンスドパークなどを、それぞれ月額費用を支払うことで装着できるようにする。

 コネクティッドでは、ユーザーによるクルマの操作と走行状態を記録し、高度な運転指導技能を持つトヨタのドライバーのデータと比較。それによりユーザーの運転技術の向上を支援するトレーニング機能を拡充する。

 そして、UIのデジタル化では、車内の各種スイッチ操作などを専用スマホアプリからできるようにし、スマホ上に仮想現実として表示する。

 これら新規サービス導入にあわせて、キャンペーンを実施する。9月1日から11月30日まで、プリウス、ヤリス、ヤリスクロスのUグレードでKINTOの利用を申し込みし、12月末までに契約を完了したユーザーを対象に、最大8万円分のアップグレード費用をKINTOが補助する。
 
 新規サービス導入とキャンペーンのタイミングについて、KINTOの小寺信也社長は大きく2つの事情があるという。