プロトタイプ試乗会で並ぶスズキ「フロンクス」(写真:筆者撮影)

 スズキの新型コンパクトSUV「FRONX(フロンクス)」が、ネット上で話題になっている。

 7月1日にティザーサイトが立ち上がり、また7月後半からネットや雑誌で一斉にプロトタイプ試乗の模様が公開された。さらに、8月に入り販売店などを通じて価格が公表されたことを受けて、今秋の発売開始を待ち望んでいる人が徐々に増えてきているようだ。

 なぜいま、フロンクスに注目が集まっているのか?

 その理由を端的に表現すれば、スタイリッシュでカッコ良く、走りも良く、そしてコスパがいいからだ。

 そんなプロトタイプの試乗体験を含めて、フロンクスについて考察してみたい。

(桃田 健史:自動車ジャーナリスト)

 試乗の場所は、静岡県内にあるクローズドエリア。ここは自動車メーカー各社が、新型車の発売を前に報道陣向けにプロトタイプ試乗の機会を設ける場として知られている。

 筆者自身もこれまで様々なメーカーの各種モデルをここで試乗しており、フロンクスの出来栄えを評価するだけの、個人的な基準を持ち合わせていると考えている。

 今回用意された車両は、プロトタイプとはいっても、研究開発中の実験車両ではなく、スズキのインド工場で日本向け量産として最終調整されたモデルである。

斜め後方から見ると、クーペのような引き締ったボディスタイルが際立つ(写真:筆者撮影)

 まず、実車を屋外で見た印象は、「先進的」「スッキリとして都会派」「引き締った筋肉質」といったところだ。

 ボディ寸法は、参考値(南アフリカ仕様の量産車)として全長3995mm×全幅1765mm×全高1550mm。

 こうしたサイズ感とデザインから、走る前から走りの良さを予感させる。

 FF(前輪駆動車)で走り出してすぐに、クルマ全体のバランス感の良さを実感した。

 ひとことで言えば、手応えがしっかりしているのだ。

 アクセルを踏み、ブレーキを踏み、ステアリングを切り、クルマを操作すると、路面とクルマ全体からドライバーに対して、的確なフィードバックがある。

 結果的に、ドライバーの疲れが少ない。