SDVへの関心の高まりで改めて「攻め」

 ひとつは、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル=ソフトウェアで定義されたクルマ)に関する自動車業界全体における関心の高まりだ。今回のサービス強化とキャンペーンを通じて、新しいクルマの売り方・買い方・使い方をKINTOとして改めてアピールする、攻めの姿勢を示した形だ。

 もうひとつは、型式指定の申請に関わる認証不正問題による影響だ。一連の不正問題は発覚後、トヨタではモデルチェンジ時期が遅れ気味になっている。昨年のように「アルファード/ヴェルファイア」や「ランドクルーザー」といった市場での注目度が高いモデルの発表が今年はない模様だ。そうした中でKINTOのキャンペーンを打つことで、KINTO事業全体を盛り上げる。

 オンライン会見の中で、筆者は小寺社長にクルマのサブスク市場全体の状況について聞いた。切り口は、トヨタ本社とKINTOとの関係性がどのように変化してきたかだ。

KINTOは旧車レンタルサービス事業も手がける。埼玉県内のトヨタ販売店にて、トヨタ「ソアラ」(写真:筆者撮影)

 これに対して、小寺社長は「あまり(大きな)変化は感じていない」とKINTO創業からこれまでの5年間を振り返った。

 KINTOは、クルマを購入後の、いわゆるバリューチェーンにおいて新しい発想を掘り起こすことを使命としてきた。一方でトヨタ本体も近年、バリューチェーンの重要性を強調するようになってきた。だが、小寺社長はKINTOとしての立ち位置と、トヨタ本社との関係性は大きくは変わらないという認識だ。

 ただし「以前はSDVに関する情報は(KINTOのような)営業サイドまでは(トヨタ本社から)伝わってこなかったが、近年は(KINTOや販売店に対しても)急に広がってきた」という。そのため、KINTOではトヨタの先進技術開発部門と直接やりとりする機会が増えているとのことだ。

 では、クルマのサブスクはいつ頃、何をきっかけにして本格的な普及が始まると予測しているのか?