山開きを迎えた富士山の富士宮ルートを登る登山客(2025年7月10日、静岡県富士宮市/写真:共同通信社)
7月に入り、いよいよ夏山シーズン本番だ。7月1日に山梨県側が山開きした富士山は、10日に静岡県側もこれに続いた。さあ、今年も“富士山狂騒曲”が始まった。
富士登山規制2年目の今年、山梨・吉田ルート5合目には仮設のゲートが設けられ、軽装の登山客の通行を拒否できるようになった。タンクトップに半ズボン姿の外国人が「富士山レンジャー」と呼ばれる山梨県が独自に設置した自然保護レンジャーに注意され、売店でウエアを購入してゲートを通過していくといったシーンも見られた。
近年はオーバーツーリズムや遭難、安易な救助要請が問題視される富士登山だが、ネットをチェックするとさまざまな富士登山ツアーが展開されている。今や一大ビジネスとなったと言ってもいい富士登山の実態はどうなっているのか。山歩きの著書もあるジャーナリストの山田稔氏がレポートする。
今年から始まったさまざまな通行規制
新宿から富士山5合目まで最も安上がりに行こうと思ったら直通バスだ。バスタ新宿6時45分発の直行便(京王バス)に乗ると9時20分に到着する。
窓口購入の通常運賃は3800円だが、WEB割運賃(クレジット決済限定)だと3500円。往復で7000円となる。山小屋が1万3000円(1泊2食付き)、そして今年から通行料4000円が必要となった。合計すると2万4000円。これが個人で行う2025年富士山登山の「最安値」と言っていいだろう。
さて、今年から始まったさまざまな通行規制について触れておこう。富士吉田ルートの場合、5合目の登山道入り口にゲートを設け、山小屋の宿泊予約がある人などを除き下記の通行規制を行う。
・登山者が1日4000人を超える場合は登山道を閉鎖する
・午後2時から翌朝3時の時間帯は登山道を閉鎖する(弾丸登山防止のため。山小屋予約済みの人は対象外)
・登下山の通行料として1人1回4000円を負担する。五合目受付では現金のみ。電子決済は予約システムから購入
富士山の山梨県側登山道「吉田ルート」の5合目に完成した常設ゲート(写真:共同通信社)
静岡県側も通行料4000円、午後2時から翌朝3時までの通行規制は一緒だ。山梨県側と異なるのは、事前に富士山の保全、安全登山に係るルールやマナーの事前学習(eラーニング)の修了が課せられている点だ。事前登録システムで入山証を取得することから始まる。詳しくは富士登山オフィシャルサイトを参照されたい。