2006年11月、GRUの本部ビルを訪問し、射撃場に立つプーチン大統領と覆面姿の隊員(写真:ITAR-TASS/PRESIDENTIAL PRESS SERVICE/ロイター/アフロ)
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(国際ジャーナリスト・木村正人)

クレムリンはいかにNATOの集団防衛に挑んでくるか

[ロンドン発]「クレムリンはいかに北大西洋条約機構(NATO)の集団防衛に挑んでくるのか。陸・空・海・宇宙・サイバー空間で非正規戦がエスカレートする中、5条(集団防衛規定)を発動させない範囲でのロシアの作戦は思っているより早くNATOを試す可能性がある」

 英国を拠点とする戦略的コミュニケーション会社アルバニー・アソシエイツの上級研究エグゼクティブ、ジョー・モーリー=デイビーズ氏は1月3日、シンクタンク「英国王立防衛安全保障研究所」(RUSI)への寄稿でこう警鐘を鳴らしている。

「クレムリンは自信を深めている。莫大な犠牲を払いながらもウクライナ東部の前線で主導権を取り戻している。同時に西側諸国を混乱させるための活動は放火、爆破、暗殺未遂など、激しさを増している」(モーリー=デイビーズ氏)

 英情報局保安部(MI5)のケン・マッカラム長官は2024年10月、「ロシア軍がウクライナの戦場で多大な犠牲を払いながら侵略を継続する一方で、ウラジーミル・プーチン露大統領の配下は西側の決意を弱めようと他の場所を攻撃しようとしている」と指摘している。