750人を超えるロシア外交官が欧州から追放された
22年のウクライナ全面侵攻以来、750人を超えるロシアの外交官が欧州から追放された。その大半はスパイだ。英国は西側同盟国と協力して、ロシアのスパイからの外交ビザ申請を拒否することで圧力をかけ続けている。外交特権という“盾”を剥ぎ取るためだ。
ロシアの在外大使館に属するスパイの数が減れば、ロシアの情報機関にとってサイバーの重要性が増す。さらに海外で破壊工作を展開するため民間情報機関員や犯罪者を含む英国や第三国のプロキシ(代理人)をロシアが利用することが昨年から目立つようになった。
ロシア軍参謀本部情報総局(GRU)は英国や欧州の街角で騒乱を引き起こすという持続的な使命を担っている。GRUによる放火や破壊工作はますますエスカレートしている。MI5は24年、英国で活動するGRU工作員を一人残らず追放し、多くの拠点の外交特権を剥奪した。
プロキシへの依存度が増せばロシアの情報活動や破壊活動はアマチュア同然となり、MI5や英国の警察当局は対処しやすくなる。「欧州全土、世界各地のパートナーとの作戦連携を強めている。協調的なキャンペーンには強力かつ持続的な対応が必要だ」とマッカラム長官は強調する。