米国によるベネズエラ攻撃はロシアのプーチン大統領にどのような影響を与えるのだろうか(写真:代表撮影/ロイター/アフロ)
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(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング)

 年明け早々、米軍が南米ベネズエラに大規模な攻撃を仕掛け、特殊部隊デルタフォースがニコラス・マドゥロ大統領を拘束、米国に連行するというショッキングな出来事が生じた。各種報道によれば、計画そのものは数カ月前から練られており、また実行の直前には、米国がマドゥロ大統領に対し辞任を求めるように要求していた模様である。

 米国はかねてより、その裏庭とも言える中南米の政治に対して干渉してきた歴史を持つ。代表的な事例は、1973年9月に南米のチリで生じたクーデターだ。軍隊が当時の左派政権を転覆させた際に、米中央情報局(CIA)が深く関与していたことはよく知られている。そして、当時の米国の大統領は、共和党出身のリチャード・ニクソンであった。

 米国のドナルド・トランプ現大統領は、何かとニクソン元大統領と引き合いにされることが多い。実際、経済運営面では、関税政策や通貨政策で類似性が見て取れる。政治運営面でも、外交政策では米国第一主義の下に諸外国を圧迫するという点で共通している。いわゆる“トランプ主義”は“ネオ・ニクソン主義”と言えなくもない。

 とはいえ、今回の米国によるベネズエラへの圧迫は、直接的な武力行使を伴うものであるという点で、CIAを通じて行われた従来の干渉の在り方と一線を画する。当然ながら米国外では、国際法に照らして問題が大きい今回の軍事行動に対して、諸外国が憂慮したり、反発したりしている。また米国内でも、軍事行動を非難する声が高まっている。

 特に上院では、民主党議員を中心に、議会を軽視した軍事行動に反発する動きが広がっている。加えて、有権者の間でも、トランプ政権に対する不支持が広がる可能性も指摘されている。そもそも政権の支持率が一連の経済失政で低下していた矢先、こうした出来事が生じた。今回の出来事が中間選挙での敗北の決定打となる可能性も否定できない。