ロシアにとって今回の攻撃は追い風か向かい風か?
さて、こうした今回の米軍の行動を、ロシアの立場から読み解くとどうなるだろうか。もともとロシアとベネズエラの関係は良好であったため、ロシアは米国による今回の行動を声高に非難し、マドゥロ大統領の解放を米国に要求している。一方で、ウクライナとの戦争に鑑みれば、米軍の行動は停戦協議を難しくする方向に働くと考えられる。
ロシアのウラジーミル・プーチン大統領にとって、ウクライナとの戦争は勝利が義務付けられた戦争だ。とはいえ本音では、経済的な体力が失われていることもあり、可能な限り早期に、それもロシアに有利なかたちで停戦に持ち込みたいだろう。そのうえで最も重要なことは、ウクライナの最大の支援者である欧州連合(EU)を説き伏せることだ。
しかし今回の米国の軍事行動で、EUは米国への態度を一段と硬化させると考えられる。もともとEUは、米国が主導する停戦協議に対し慎重な立場を堅持していたが、今回の出来事で米国への不信感をなおさら強めたことだろう。つまりロシアは、米国による停戦協議の仲介を“ロシア寄り”に導く余地を失ったことになるのではないだろうか。
そうなると、ロシアはウクライナとの戦争を継続せざるを得なくなる。戦争は着実にロシアの国庫を疲弊させており、政府は年明けから戦費調達のため付加価値税(VAT)を20%から22%に引き上げている。ルーブル高と原油安で輸出が不調なため、政府は一般の国民に対しても、戦争のコスト転嫁を強めざるを得ない。