シカゴ・ホワイトソックスの本拠地ギャランティード・レート・フィールド(写真:Jonathan Weiss/Shutterstock)
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「巨人依存」体制の終焉

 2004年の「球界再編」を契機として起こった様々な改革の根底にあったのは「経営者の意識改革」だったといえよう。

 これまでのプロ野球球団は「2つの存在に依存」していた。

 一つは「巨人」だ。何度も触れているようにセ・リーグ球団は「巨人戦の放映権料」に依存していた。これがなければ、セの球団もパ・リーグ同様、身売りが相次いでいただろう。

 もう一つは「親会社」だ。これも紹介した通り「各事業年度において球団に対して支出した金銭のうち、広告宣伝費の性質を有すると認められる部分の金額は、これを支出した事業年度の損金に算入する」という1954年の国税庁通達によって、親会社の球団への損失補填は「節税」になっていたのだ。

 この二つに依存することで、かつてのNPB球団の多くは積極的な経営改革に乗り出さなかった。業界恃み、親会社恃みという、日本企業によくある「現状維持」体制が続いていたのだ。

 しかし巨人戦の視聴率の下落、ナイター中継の激減に加え、新たな業界から球団経営への参入が続く中で「独立採算」の機運が醸成された。

 それによって「地域密着型」のマーケティングが盛んになったことにも触れた。

 そして「球界再編」を契機として多くの球団は「本拠地球場をどうするのか」に着目しはじめた。