2024年オリックスと阪神の交流戦「関西ダービー」(写真:筆者撮影)
拡大画像表示

 2004年の「球界再編」を契機としてできた新しい制度に「交流戦」がある。セントラル・リーグ、パシフィック・リーグというリーグの壁をまたいで、チームが公式戦をするというものだ。

 従来、ペナントレースは、セ・リーグ、パ・リーグの中だけで行われた。リーグをまたいでの真剣勝負は、日本シリーズしかなかった。

 あとはオープン戦と称する非公式試合だけだった。また、夏にはセ・リーグとパ・リーグのスター選手がチームを組んで対戦する「オールスター戦」が行われた。これは、21世紀になるまではかなり真剣味の強い対戦ではあったが、それでも公式戦ではなかった。

 そもそも、一つのプロ競技の中に「二つのリーグがある」というのは、アメリカ発祥のスポーツに独特の体制だ。

当初はナ・リーグだけが「MLB」

 MLBはアメリカン・リーグ、ナショナル・リーグの2リーグ制、バスケットのNBAは東西2つのカンファレンス、アメリカンフットボールのNFLはアメリカン・フットボール・カンファレンスとナショナル・フットボール・カンファレンス、アイスホッケーのNHLも東西2つのカンファレンスに分かれている。

 その始まりはMLBにあった。

 アメリカでは1871年に「ナショナル・アソシエーション=NA」というリーグができた。NAは1876年に「ナショナル・リーグ=NL」となったが、彼らは自分たちだけがMLB(メジャーリーグベースボール)だとして、他のリーグ、チームとの差別化を図った。その後、いくつかのリーグができ、それらも「メジャーリーグである」と主張したが、NLはそれを受け付けなかった。しかし1901年にできたアメリカン・リーグを「メジャーリーグ」と認めたことで、MLBは二大リーグ制となった。

 しかし、両リーグの関係は必ずしも良好ではなかった。MLB創設3年目の1903年になって両リーグ優勝チームの雌雄を決する「ワールドシリーズ」が生まれたが、以後も両リーグはライバル心を抱き続けていた。ドラフト制度など、両リーグが導入に合意した制度もあったが、1973年にアメリカン・リーグが指名打者制度(DH)を導入した際には、ナショナル・リーグはこれに同調しなかった。