球場使用料の値上げが球団再編の契機にも
2004年の「球界再編」の端緒となった大阪近鉄バファローズの「経営難」も、本拠地大阪ドームの「使用料の値上げ」が引き金となっていた。
当時の大阪ドームは第3セクターの株式会社大阪シティドームが運営していたが、経営破綻の危機に瀕したために、近鉄バファローズに「使用料の値上げ」を通告した。しかしすでに大きな赤字に苦しんでいた近鉄は、単独での球団運営を断念し、オリックス・ブルーウェーブに合併を持ち掛けたのだ。
近鉄と合併したオリックス・バファローズの親会社、オリックスグループは、2006年会社更生法を適用した株式会社大阪シティドームから大阪ドームを買収し、グループ傘下とした。これによってオリックス・バファローズは球場使用料が実質的にゼロになった。
一方アメリカでは、MLB球団と本拠地球場は、全く違う関係で結びついていた。多くのMLB球団では、州や市などの自治体がスタジアムを自前で建設し、球団を誘致する。アメリカではスポーツが「公共財」として広く認知されていて、議会もMLB球団の招致を前提とした球場建設や、招致にかかるコストを承認してきた。
球団は無償あるいは安価な使用料で球場を使用する。建設後、球場を球団に譲渡する場合もある。入場料収入も場内での飲食、物販、広告などの収入もすべて球団の収益となる。
しかしそういう形で球団が収益を上げれば、自治体にとっては税収増になる。さらに球団を招致することで、年間200万人以上の観客が球場を訪れる。周辺に賑わいができ、町全体の賑わいも創出することができる。
アメリカの行政は「彼らはスポーツビジネスのプロなんだ。盛り上げ、賑わい創出は彼らに任せておけばいいんだ」と割り切って、事業を丸ごと託すのだ。