2025年はウクライナのゼレンスキー大統領も厳しい決断を迫られそうだ(写真:ロイター/アフロ) 2025年はウクライナのゼレンスキー大統領も厳しい決断を迫られそうだ(写真:ロイター/アフロ)

 ロシアとの長引く戦争によって厳しい状況が続いているウクライナ経済。その中で、独仏経済の減速が深刻な欧州連合(EU)では、ウクライナの復興需要に大きな期待が高まっている。供給力の落ちたウクライナでは、どのように復興を進めるべきなのか。通貨政策から考える。(土田 陽介:三菱UFJリサーチ&コンサルティング・副主任研究員)

あまりに対照的なロシアとウクライナの経済情勢

 ロシアとの戦争の長期化を受けて、ウクライナの経済は厳しい状況が続いている。

 最新の数字であるウクライナの2024年7-9月期の実質GDP(国内総生産)は前年比2.0%増と、2四半期連続で増勢が鈍化した(図表1)。一方で、同期の消費者物価は同7.2%と前期(3.8%)から上昇が加速しており、インフレが景気を圧迫したかたちだ。

【図表1 ウクライナの経済実績】

(出所)ウクライナ統計局(出所)ウクライナ統計局
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 2022年、ウクライナの実質GDPは約30%縮小した。2023年の成長率は6%程度、2024年は3%台後半で着地する見込みである。つまり、ウクライナの経済規模は、開戦前の2021年を100とすると、80程度まで縮小したままである。

 それに対して、この間のロシアの経済規模は105程度まで拡大しており、両国のパフォーマンスは対照的である。

 この間、ウクライナの経済はロシア以上に「戦時経済化」が進んでおり、軍需が膨張しているはずだ。であるならば、ロシアと同様に軍需が経済成長をけん引しているはずだが、ウクライナの不調が際立っている理由はなぜだろうか。

 それは、ロシアによる攻撃を受けて、ウクライナの経済が需要のみならず、供給の面からも強く圧迫されたことにあると考えられる。