「2025年は日本のホワイトカラーが「シン勝ち組」と「シン負け組」にわかれていく」と語る藤野英人氏「2025年は日本のホワイトカラーが「シン勝ち組」と「シン負け組」にわかれていく」と語る藤野英人氏

「今、起きているのは二極化ではなく多極化」「日本では今年から『地獄の10年』が始まる」と語るレオスキャピタルワークスの藤野英人氏。資本主義の暴走、モンスター勝ち組の爆誕、世界中で起きる合意形成の不調の背景にあるもの、そしてこれから起こりうる未来を投資家の目線で大胆に占う。【後編】(聞き手:篠原匡、編集者・ジャーナリスト)

◎前編:「安いけど質が高い」は過去の話、人手不足でオペレーションが崩壊し始めたサービス業と「おもてなし」の未来

「二極化」ではなく「多極化」

──「格差社会」と言われて久しいですが、日本は今後さらに二極化が進むのでしょうか?

藤野英人氏(以下、藤野):僕は「二極化」という表現はもう古いと思っています。今起きているのは「多極化」です。

「二極化」では単純に「勝ち組」「負け組」というような分け方をしますが、その分類ではメッシュが荒すぎる。今は「勝ち組」も多極化して、「負け組」も多極化しています。

 まず、お金持ちの中に、とんでもない「超大金持ち」が生まれています。

 たとえば、虎ノ門ヒルズが開業した時、レジデンスは坪単価1000万円という「モンスター価格」が付きました。これを買ったのは、ハイパー外資系の人や昔ながらのお金持ちです。

 ところがその後、不動産価格が上昇したため、足元では坪単価が3000万円までになっています。当初の物件価格が3億円から10億円だとすれば、9億円から30億円になったということです。

港区の高層マンションはとんでもない坪単価になっている(写真:共同通信社)港区の高層マンションはとんでもない坪単価になっている(写真:共同通信社)
【写真】最上階の物件の坪単価が4000万円超といわれる麻布台ヒルズ(写真:共同通信社)【写真】最上階の物件の坪単価が4000万円超といわれる麻布台ヒルズ(写真:共同通信社)

──知り合いの経営者が住んでいた港区のペントハウス、2008年に5億円でしたが、2022年に12億円、2023年に21億円と爆あがりしました。

藤野:そういう話はそこら中にありますよね。

 この資産価格の上昇は、購入した富裕層が付加価値向上のために何か努力したわけではありません。たまたまコロナ禍の後のインフレや海外の投資家の物件取得で、値がつり上がっただけです。坪1000万円の不動産を買えたというだけで、お金持ちが超お金持ちになったのです。