「おもしろおかしい10年」か「地獄の10年か」
──投資家の目線では、今年の日本はどうなると見ていますか?
藤野:2025年はむき出しの資本主義が現れる時代だと思います。米国や欧州を見ても、それは間違いないと感じています。
2024年には、セブン&アイに対する買収提案や日産とホンダの経営統合などのニュースがありました。これらの裏には買収ファンドがいます。セブン&アイは、買収するカナダの会社の裏に中東のファンドがいると聞いています。日産は台湾の電機大手、鴻海精密工業が買いに来たため、慌ててホンダに接近しました。
先日、野村証券や大和証券など証券会社の人たちが年末のご挨拶でいらっしゃったのですが、みなさん「最近とても忙しい」と言う。何が忙しいのかというと、水面下でいろんなことが起こっていて、証券会社への相談がものすごく増えているそうです。
「買収ファンドに買収を仕掛けられているので助けてほしい」という会社がある一方で、「あの会社を買いたいから、なんとかしてくれ」という相談もある。証券会社の人たちは「来年はもっと忙しくなる」と悲鳴を上げていました。
欧米のファンドから見れば、日本には割安な会社が山のようにあります。しかも、円安なので実際に割安に買うことができる。今、膨大なファンドが日本の会社に熱視線を送っています。
──今年は何が起きますかね……。
藤野:2025年は日本のホワイトカラーが「シン勝ち組」と「シン負け組」にわかれていくと思います。サラリーマンの多極化が進んでいくのです。
外資系に買収される企業には、リストラされる人が出てくるでしょう。リストラされた人は次の人生を探さなければなりません。逆に、残った人は実質的には外資系の社員になり、給料が3000万とか4000万円になるかもしれません。
そういう面で見ると、これからダイナミックなことが起こるでしょうね。10年後に2025年を振り返り、「おもしろおかしい10年だったね」という人と「地獄の10年だった」と言う人とで、風景が変わる年になるかもしれません。