多極化する世界で社会的調和を保つには?

藤野:自民党や立憲民主党のような大きな政党が支持を失い、共産党や公明党は支持層が高齢化している中で、「参政党」や「保守党」などの新しい政党ができ、すごい左とすごい右の政党が出てくる。その始まりが前回の衆議院選挙だったのでしょう。

 ただし、これは日本独特のことではなくて、世界中で起こっていることです。

 実際にヨーロッパの政権を見ると、第一政党であっても支持率が20~25%ほどしかなく、多極化しています。ポピュリズム政党、キリスト教に根差している政党、あとはかなりの左翼やかなりの右翼、中道政党などがあり、それらが連立を組みながら、なんとか政権を回しているのが現状です。

◎【2024年を振り返る・フランス編】「三国志」状態に陥ったフランス、マクロン大統領はフランスに何を残すのか?(JBpress)
◎【2024年を振り返る・ドイツ編】政情不安・景気低迷・産業空洞化の三重苦に直面するドイツ、もはやディストピアか(JBpress)

 米国も二大政党というけれども、内実は細かく割れていて、たまたま共和党のトランプが幅広い意見を集めたということだと思います。

 これからは多極化・多党化を受け入れざるを得ず、同じようなマス(多数派)を集めることはもうできないでしょう。

 なので「マス・メディア」はもうなくなり、すべてが「ミニ・メディア」になる。そうした細かい意見を幅広く議論する場がないまま、ネットメディアの中にミニメディアが乱立していく気がしますね。昔から考えると、それは変な世界に見えるかもしれません。

 そうした中で社会的な調和を保つには、違う立場・違う考えの人をリスペクトしてゆるやかに受け入れる、ダイバーシティ&インクルージョンのようなリテラシーが重要になるのではないでしょうか?