東京台東区・浅草神社の三社祭でみこしを担ぐ人たち。「新陳代謝率」が上位のワケは?(写真:共同通信社)東京台東区・浅草神社の三社祭でみこしを担ぐ人たち。「新陳代謝率」が上位のワケは?(写真:共同通信社)

(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)

人が入れ替わる地域ほど不動産市場が活発になる

 不動産業に携わっていると実感するのが、不動産は社会生活を営むための重要なインフラであるということだ。

 人は暮らすために家を確保する。現代の働き方の主流は事務労働となっているが、多くの事務労働者はオフィスというハコの中で勤務し、商業施設で日々の買い物をし、飲食を楽しみ、ホテルに滞在し、寛ぐからだ。

 そして街の経済が発展し、地価が上昇するには一定の法則があることに気づかされる。街というプラットフォームで人の出入りが多い街ほど街に活気が生まれ、不動産が活発に動き、結果として地価が上昇するということだ。

 なぜかといえば、街にやってくる人が多いと、住宅の売買、賃貸借が活発になる。転入してきた人は街を探検し、引っ越しを含めてたくさんの買い物をする。飲食店に顔を出し、お気に入りの店を見定める。

 街を出ていく人が多ければ、人の入れ替わりが起こり、家を売る、貸し出すことが増える。家の価格も相場価格で取引され、家賃も新規賃料で募集できる。

 不動産マーケットが好調であれば、上昇速度が自然と速まる。地元で商売を営む商店主は新規顧客を掴もうと新しいトレンドに敏感になる。

 これを私は「街の新陳代謝」と呼んでいる。一定数の人が常に「入れ替わる」状態にある街が、経済が成長し、結果として地価、資産価値が上がるのだ。