
マンション価格や住宅ローン金利の上昇で、マイホーム購入後の負担が一段と重くなりそうな2025年。首都圏の新築マンションの供給は増えそうだが、郊外部で割安感のある物件は激減する可能性があるという。住宅ジャーナリストの山下和之氏が最新のマンション事情をレポートする。
>>【グラフ】建築費高騰&住宅ローン金利の上昇で、首都圏の新築分譲マンションの供給戸数が減少する!
新築マンションの発売戸数は都心部の高額物件が中心
いま、東京都心部やその周辺の高額マンションを購入しているのは、富裕層や高額所得者が大半を占めており、居住用ではあっても資産価値上昇を期待して購入する人も多い。そのため、多少値上がりしても購入意欲が衰えることはなく、むしろ購入意欲が高まる傾向にある。
マンション開発を行うデベロッパー各社は、都心やその周辺でのマンション開発にしのぎを削っているが、今年もタワーマンションを中心に高価格帯のマンション販売が増えそうだ。
不動産経済研究所によると、【図表1】にあるように2024年の首都圏の新築マンション発売戸数は2万3003戸にとどまったが、2025年は2万6000戸に増えると予測している。
増加の大半を占めるのが東京23区だ。2024年の東京23区の発売戸数は8275戸だったのが、2025年は1万2000戸に増えるとみられている。
神奈川県も4917戸から5500戸に増えると予測されているが、その一方で、東京都下は2041戸から2000戸に、埼玉県は3313戸から3000戸、千葉県は4457戸から3500戸に減るとみられている。
こうして見ると、首都圏全体の新築マンション発売戸数は昨年より増えるものの、2023年以前のレベルと比較すると低水準にとどまっている。しかも、増加は高額物件中心の東京都心部やその周辺が中心になり、平均的な所得の会社員に手が届きそうな郊外の物件は減っていくことになりそうだ。その背景にはどんな事情があるのだろうか。