世田谷と練馬では高齢化が進行

 少し気になるのが、世田谷と練馬である。両区とも古くからの住宅地が展開するエリアであるが、杉並、板橋、大田などに比べ代謝率が低く(世田谷12.2%、練馬11.6%)地価上昇は低位(世田谷4.3%、練馬4.1%)にある。この両区の共通点が近年激しく高齢化していることだ。

 戦後の経済成長期以降に多くの住宅が建設された住宅地で高齢化が進行、練馬は2000年の高齢者人口は9万5854人、高齢化率は14.8%にすぎなかったのが、2020年で16万491人と67.4%も増加、高齢化率は21.7%と6.9ポイントもの高い伸びになっている。

 世田谷も同様に高齢者人口は43.9%の伸び、高齢化率は16.1%から20.08%と、20%を超え、高齢化の進展をうかがわせている。

 もちろんこれは行政区単位での代謝率、地価増減率の比較であるから、個別の街の立地の優位性は考慮されていない。したがって今後の不動産マーケットの行方を見る一つの指標に過ぎないことは付け加えておく。

 ただし、不動産が人々の生活するインフラである限りは、代謝率と地価増減の関係はかなり明確である。地価上昇だけで資産性が評価されるわけでもないが、住宅の取得や不動産投資を行う際の参考にしてみてはいかがだろうか。