東京都中央区のマンション「晴海フラッグ」(写真:共同通信社)

(牧野 知弘:オラガ総研代表、不動産事業プロデューサー)

もはや坪1000万円超えはあたりまえ

 東京・品川区港南で建設されるリビオタワー品川の第1期1次の分譲が開始され、話題を呼んでいる。

 このマンションは地上34階建、総戸数815戸のタワーマンション。JR品川駅から徒歩13分の湾岸エリアに位置する。売主は日鉄興和不動産をはじめとした5社、建物引渡しは26年10月上旬だ。

 販売状況をみると、40m2台から100m2超の住戸に対して、競争率は3倍から139倍、平均で12.4倍という高倍率になった。販売価格は坪当たり650万円台から1350万円という超高額帯。

 都心の新築マンションの高騰が止まらないと言われて久しいが、本物件もあらためて都心超高額マンションの人気を裏付けるものとなった。
 
 一昨年に分譲されて話題となった三田ガーデンヒルズの販売価格が坪当たり1300万円台から1400万円台だったが、もはや坪1000万円超えは都心新築マンションではあたりまえの標準価格とさえ言えるものになっている。

 こうしたマンション価格の高騰をもたらしているのが日本社会ですすむインフレだ。新築マンションの建設費はうなぎ上りの状況にある。数年前から比べれば建設費は3割から4割の高騰。特に建物代の比率が高いタワーマンション価格を引き上げる要因となっている。

 昨今、中野駅前にある中野サンプラザの建替え延期が話題となったが、これも建設費の高騰が背景にある。

再開発計画が白紙になった東京都中野区の複合施設「中野サンプラザ」(写真:共同通信社)

 建設費の高騰が続く限り、新築マンション価格はコストプッシュによって下がらない。否、下げることができない。だから高いのはあたりまえ。

 であるならば今後も上がり続けるであろうから、早く買わなければ手に入らなくなる。これが現状の新築マンション市場の現状肯定論理だ。

 では、こうした状況が今後も継続していくための条件はなんだろうか。

 昨年3月末に全戸の引渡しを終えた東京五輪選手村跡地にできた晴海フラッグ(板状棟)のその後の状況をみてみよう。