(スポーツライター:酒井 政人)
初登場のエティーリが区間新!
第101回箱根駅伝は意外なかたちで幕を開けた。1区は当日変更で入った中大・吉居駿恭(3年)が序盤で抜け出すと、区間歴代4位の1時間01分07秒をマーク。後続に1分32秒以上の大差をつけたのだ。
筆者は往路の戸塚中継所で取材した。エースたちがタスキをつなげた直後の声をお届けする。
花の2区を最初にスタートした中大・溜池一太(3年)は、「これが箱根の先頭なんだなと思った。気持ち良かった」と快調にレースを進行。影を踏ませることなく、1時間06分39秒(区間9位)の好タイムでトップを独走した。
続いて戸塚中継所に姿を現したのは、「最強留学生」の呼び声が高い東京国際大のリチャード・エティーリ(2年)だった。14位で走り出すと、2位まで急上昇。先輩のイェゴン・ヴィンセントが保持していた区間記録(1時間05分49秒)を大幅に塗り替える1時間05分31秒を叩き出した。
戸塚の坂に苦しめられて、「初めての2区はとてもタフなコースでした」と振り返ったが、「チームをトップに立たせられなかったけど、最高のタイムが出せたと思う」と本人は満足そうだった。
エティーリのハイペースに苦しめられるかたちになったのが、2時間06分18秒のマラソン日本学生記録を保持する國學院大・平林清澄(4年)だ。
平林は3年連続の2区で前回は1時間06分26秒の区間3位と快走している。しかし、今回は浮上してきたエティーリに対応したことでリズムに狂いが生じたようだ。
「権太坂から上げる予定でしたけど、権太坂できつくなってしまった感じで、上がり切らなかった。悔しい限りです。後半上がらなかったのは自分の弱さだと思います」
1時間06分38秒の区間8位。國學院大はエース平林で6位から8位に転落した。
「最後の箱根駅伝ということで自分のなかでも大事にしたいと思っていたんですけど、悔いが残るかたちになりました。レースとしては不甲斐ないものになりましたが、キャプテンとしてチームを信じて、明日は大手町でアンカーを待ちたいと思います」