左から名城大の谷本七星、米田勝朗監督、米澤奈々香 写真/ナイキジャパン

(スポーツライター:酒井 政人)

「チームにとって必要な負けだった」

「NIKE RUNNING MEDIA CAMP 2024」のスペシャルゲストとして登場した名城大女子駅伝部。同校は昨季、全日本大学女子駅伝で7連覇、富士山女子駅伝(全日本大学女子選抜駅伝)で6連覇を達成した。

 しかし、今年は10月27日に行われた全日本大学駅伝で立命大に完敗。4位に沈み、8連覇を逃している。令和の常勝軍団はなぜ敗れたのか。米田勝朗監督は昨季あたりから“嫌な雰囲気”があったという。

「連覇を重ねるごとに少しずつ取り組みが変わってきている部分がありました。ちょっと悪い方向にいっているな、と。去年も状態があまり良くなかったんですけど、それでも勝ち切った。でも同じことは起きないと思っていましたし、学生たちには、『やるべきことができないようなチームだったら負けた方がいい』という話をしていました。成功体験だけでなく、失敗することも大事です。チームが再び強くなるために必要な負けだったかなと私は思います」

 3度の「日本一」を経験している主将の谷本七星(4年)もチームの異変を感じとっていた。

「練習でプラスアルファをやる選手が少なくなって、『もっと強くなりたい』という姿勢が年々弱くなっていました。一日の積み重ねがレースの結果につながってきます。寮生活をしているなかで自分を律して頑張っている選手を見ると、『私もやらなきゃ』という連鎖反応が生まれてくるんですけど、今年はそれが少し弱かったかなと思います」

 競技面でもトラックシーズンで5000mの15分台を出す選手が現れず、夏合宿は故障者が続出した。それでも全日本大学女子駅伝の直前でチームはグッと調子を上げてきたという。

「レース1カ月前ぐらいからの練習はほとんど決まっているんですけど、直前の3000mも結構速いペースでできました。それまでできなかった練習もこなすことができて、チームの一体感が生まれてきたんです。私たちのなかで『優勝できる』という気持ちで臨みましたが、うまくいきませんでした」(谷本)