酒井俊幸監督 写真提供=ナイキ ジャパン

(スポーツライター:酒井 政人)

酒井監督が語るチーム状況

 今年の箱根駅伝で総合4位に入った東洋大。8~9月は夏合宿を重ねて、駅伝シーズンに向けて走り込んだ。チームは9月中旬の猪苗代合宿でメディア取材に対応。酒井俊幸監督はチーム状況をこう話した。

「足並みがちょっと揃っていないところと順調に下地ができているなというのが折り混ざっている感じですね。それぞれスケジュールが異なっていましたし、前半戦で頑張った4年生に体調不良や故障もありましたから」

 梅崎蓮(4年)が8月25日の北海道マラソンに出場して、松井海斗(1年)が8月下旬にU20世界選手権(5000m)でペルー・リマに遠征。実業団の合宿に参加した選手もいて、チーム全員が同じスケジュールでトレーニングを消化したわけではなかった。駅伝シーズンに向けて仕上がりが遅れている選手もいるが、酒井監督は夏合宿の成果を感じている。

「夏合宿は富士見、蔵王、箱根で起伏のあるコースを走ってきました。そのなかで1年生がトラックシーズンに引き続き、いい練習をしています。2・3年生が1年生の突き上げと4年生の頑張りに刺激を受けて、昨季は三大駅伝に出られなかった選手が力をつけつつあるんです」

 なかでも酒井監督がイチオシしていたのが網本佳悟(3年)だ。

「網本は昨年、捻挫をして箱根駅伝の登録メンバーに入れなかったんですけど、それが自分を見つめ直す契機になりました。今季は1500mから始めて、全日本大学駅伝の選考会は2組でトップを奪い、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ10000mを28分31秒26で走りました。本人も手応えをつかんでいるんじゃないでしょうか」

網本佳悟選手

 酒井監督の予感は的中する。網本は日本インカレ10000mでも29分50秒57で8位入賞(日本人2位)を果たして、駅伝シーズンに向けて弾みをつけた。