文・撮影=酒井政人

全日本大学駅伝に初出場する立大

左から立大の林虎太朗、中田紫音、稲塚大祐

 プーマのユニフォームを着用して初めて箱根駅伝を駆け抜けたのが立大だ。昨年は55年ぶりに箱根復帰して18位。今年は14位まで順位を押し上げた。今季は高林祐介駅伝監督が就任。6月の全日本大学駅伝関東学連推薦校選考会を2位で突破するなど、さらに勢いが増している。

 夏合宿はPUMA RUNNING HOUSE SUGADAIRAを活用したこともあり、順調にトレーニングを消化。高林監督のハードなメニューにもしっかり対応しているという。

「チームとしては土台作りをしっかりやっていて、底上げができている段階ではあるのかなと思います」と林虎太朗(4年)が言えば、中田紫音(4年)も「今回の夏合宿では結構距離を踏めたので、長い距離への不安はなくなったかなと思っています」と自信を口にした。

 高林監督となり、練習メニューが変化した。夏合宿の走行距離も大幅にアップしたようだ。

「去年は最低ラインが月間600㎞ほどでしたが、今年は最低でも700~800㎞はいくように監督がメニューを組んでいます。ジョグが時間指定から距離指定になっただけでなく、キロ4分半でリズムよくというようにペースを指定される日もあります。なかには月間で1000㎞以上走る選手もいて、昨年とは違いますね」(林)

 夏合宿のメニューでは野尻湖2周(約30㎞)が最もきつかったと選手たちは声を揃えた。

 箱根駅伝8区を区間11位で走っている稲塚大祐(4年)は、「ゆったりしたペースから一番きつい上りでペースを上げるんですよ。それが2周なので2回ある。2周目は気持ちの部分でもきつくなるので、一番嫌いなメニューだったかもしれません」と苦笑いするほどだった。

 夏合宿中はカーボンシューズを着用しないように高林監督から指示されており、選手たちは徹底的に脚を鍛えたようだ。大きな故障をする選手はなく、チーム全体が強くなっている雰囲気が伝わってきた。

 そのなかで駅伝シーズンに向けて、選手たちはどのような目標を掲げているのか。

 箱根駅伝で2年連続の1区を担っている林は、「箱根予選会はチームとして3位以内を目標にしているので、個人では日本人上位でしっかりと走りたい。初出場になる全日本大学駅伝はチャレンジャーとして、他大学のエースに食らいつき、後輩たちに置き土産を残したいと思っています。箱根駅伝もシード権獲得のために、区間上位で走って、集大成となるレースをしていきたい」と〝初シード〟に燃えている。

 関東インカレの2部ハーフマラソンで5位に入っている稲塚は、「箱根予選会はチーム順位を引き上げられるような走りがしたいです。前回の箱根駅伝はチームとしても個人としてもシード権(10位以内)に届かない感じだったので、区間一桁で走り、シード圏内で渡せるようにしたいです」と主力としての活躍を誓った。

 それから学生駅伝未経験の中田は、「箱根予選会はチーム内で5位ぐらいの状態に持っていき、箱根駅伝は順位を上げるような走りをしたいな思っています」と最後のチャンスに懸けている。

 立大は箱根駅伝予選会の約2週間後に全日本大学駅伝を迎えるが、初の伊勢路でどんなインパクトを見せるのか。

 

箱根駅伝で3位に躍進した城西大

左から、城西大の斎藤将也、久保出雄太、林晃耀

 昨季からプーマのユニフォームを着用している城西大。駅伝シーズンは怒涛の大活躍を見せた。出雲2位、全日本5位、箱根3位。三大駅伝すべてで過去最高順位を奪ったのだ。

 今季は関東インカレで主将・平林樹(4年)が1部10000mで日本人トップの2位に入る大活躍。三宅駿ら期待のルーキーたちも加入した。そして夏は北海道、女神湖、菅平と合宿を重ねてきて、順調にトレーニングをこなしてきたという。

 今季は5000mで13分33秒39の自己新をマークしているエース格の斎藤将也(3年)は、「トラックシーズンは70点ぐらいでしたが、夏合宿は順調に距離を踏んでいます。チームとしても例年以上に質が高いメニューをこなせていると思います」と話す。

 関東インカレの1部ハーフマラソンで7位に入り、7月の5000mで13分49秒44の自己ベストをマークした久保出雄太(城西大4)は前半戦を「100点です」と評価したが、夏合宿はさらに調子を上げており、「120点の仕上がりです」と元気一杯だ。

 一方、トラックシーズンは「50点ぐらいかな」という林晃耀(4年)も「夏合宿はチームとしても個人としても、昨年の設定より良いタイムで練習を積めていますし、駅伝シーズンは期待してもらっても構わないのかなと思います」と自信を取り戻している。

 チームは三大駅伝すべてで「5位以内」という目標を掲げているが、選手たちの目線はもっと高い。

 昨季は出雲1区(9位)、全日本4区(1位)、箱根2区(8位)を担った斎藤は、「欲を言えば、すべて2区を走って、区間賞を狙いたい」と力強かった。「今年の箱根は同期の黒田朝日(青学大)に区間賞を奪われました。彼の66分07秒はちょっと厳しいかもしれませんが、66分半ぐらいで走って、先頭争いできればいいなと思っています」と花の2区の戦いをイメージしている。

 箱根駅伝は6区(13位)を任された久保出は三大駅伝で「1区」を希望した。「1区ならついていき、最後に抜かせばいい。自分が活躍できるんじゃないかなと思うので、区間賞を狙っていきたい」と好スタートを切って、チームに勢いをつけるつもりだ。

 昨季は出雲4区(2位)、全日本1区(17位)、箱根7区(5位)を走った林は、「出雲は4区でリベンジして区間賞を狙いたい。全日本は走りたい区間は特にないので、任された区間を全力で走りたいですね。箱根は2年連続で復路の7区を担当したので、最後は往路の4区で勝負したいです」と意気込んでいる。

 三大駅伝はすべて「5位以内」という目標を掲げる城西大だが、チームの戦力は昨季以上。今季はトップを争うシーンが見られそうだ。