東京駅─東京ビッグサイトを結ぶ「臨海地下鉄」構想の行方

 こうした南北移動の整備に力を入れる江東区だが、前述の晴海フラッグに加え、中央区では勝どき駅から徒歩10分の位置に「ザ 豊海タワー マリン&スカイ」というタワマンを筆頭に多くのタワマン建設が進んでいる。そして冒頭で触れた築地市場の再開発も始まる。

 築地・晴海・勝どきの開発によって、オフィス移転など企業立地にも変化が起こるだろう。それは湾岸エリアの通勤動線も変えることになるため、江東区としては東西の公共交通の整備も怠れない。

 大規模再開発の事業者が決まった築地へとアクセスするには、東京メトロ日比谷線の築地駅もしくは都営大江戸線の築地市場駅を利用するのが一般的だが、大規模再開発後に5万人収容のスタジアムが予定されていることを踏まえると、この2路線だけでは心もとない。

 東京都は2022年11月に東京駅─東京ビッグサイト間の約6.8kmを結ぶ臨海地下鉄の構想を発表している。同地下鉄構想では、新築地駅や晴海駅、豊洲市場駅などが開設されることが予定されている。

 築地市場跡地の再開発は2030年代に完了を予定している一方で、臨海地下鉄は2040年代の開業予定がアナウンスされている。臨海地下鉄の開業の方が遅いのは地下を掘削するという工事の事情が大きいが、臨海地下鉄が開業することによって湾岸エリアの鉄道網はさらに充実し、同時に開発も加速する。

東京都中央区の旧築地市場跡地東京都中央区の旧築地市場跡地(写真:共同通信社)