1階建ての平屋住宅が増えている。核家族化や独居世帯の増加などにより世帯人員が減っているため、2階建て、3階建てでなくても十分ということだろうが、その半面、平屋住宅は広い敷地が必要で、固定資産税が高くつくなどのデメリットもある。平屋にするなら、後悔しないようにメリットだけではなくデメリットも理解しておく必要がありそうだ。住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。(JBpress編集部)
住居専用住宅の6戸に1戸は「平屋」、なぜ増えている?
まずは、いかに1階建ての平屋住宅が増えているのか、データを見てみよう。
国土交通省の「建築着工統計調査」によると、【グラフ1】にあるように、2023年度に新設着工された住居専用住宅は約38万戸で、そのうち平屋が6万戸近くを占めている。平屋の割合は15.4%で、およそ6戸に1戸を平屋が占めていることになる。10年前の2013年度の平屋の割合は7.4%だったため、10年間でその割合が2倍以上に増えた計算だ。
一方、国交省によれば、新設住宅の着工戸数は年々減少が続いている。
利用形態別には、自己居住用に建築する「持家」、賃貸住宅の「貸家」、社宅・寮などの「給与住宅」、新築分譲マンションや建売住宅などの「分譲住宅」に分類できるが、中でも、持家の減少が深刻で、2024年7月段階で、前年同月比で32カ月連続して減り続けている。そうした状況で平屋だけが増えているわけだから、注目度が高まるのも当然だろう。
では、なぜ平屋住宅が増えているのか。最大の要因は世帯人員の減少だろう。かつては、両親に子どもが2人、3人といて、中には祖父母もいる大家族が多かったが、いまやそれは少数派。【グラフ2】にあるように、1人から3人までの少人数世帯が大多数を占めるようになっている。
国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2020年に2.21人だった平均世帯人員は、2032年には2.00人に減り、2033年には平均2人以下となり、2050年には1.92人まで減少する見込みだ。
これだけ家族数が減れば、当然ながら広い住まいは必要なくなる。というより、広い家は不便なだけで、持て余してしまう。1階建ての平屋住宅が増えるのも納得だ。こうした予測を見ると、今後もますます増えるのではないか。