延床面積が半分でも価格が半額になるわけではない

 ハウスメーカーの建売住宅といえば、2階建てがほとんどだが、最近ではその中に平屋住宅を組み込むケースが増加している。

 例えば、リクルートが運営するSUUMOの戸建分譲住宅ページを見ると、平屋の物件も登場する。供給しているのは、九州など地方の工務店や中小のビルダーが中心だが、関東でも茨城県、千葉県、埼玉県などで見られるようになってきた。

 埼玉県をメインとする中堅ビルダーのポラスでも、建売住宅の中に平屋を取り入れるようになっている。例えば、「フレーベスト川越」は169m2の敷地を確保して、ゆとりある住まいを提供している。

 このように注目度が高まる平屋住宅だが、良いことばかりではない。住む人にとってはメリットだけではなく、デメリットもあるので十分に注意しておく必要がある。

 まず、メリットとしては、ワンフロアだけなので階段を必要とせず、上下動がないバリアフリー住宅になる。高齢者、障害者だけではなく、乳幼児など小さな子どもがいる家庭や、ペットのいる家庭でも安全・安心な住まいになる。そのため、シニア世代だけではなく、若い世代にも平屋を希望する人たちが増えている。

 コンパクトな住まいなので、省エネ、光熱費の削減につながり、SDGsの時代にはうってつけ。さらに、メンテナンスも1階だけなので比較的手がかからず、ランニングコストの削減にもつながる。

 また、平面だけなので、家族がどこで何をしているのかを感じることができ、コミュニケーションをとりやすい上、動線がシンプルになり、生活しやすいといったメリットもある。

 建築費は2階建て、3階建てに比べるとかなり安くできるが、平屋でも2階建て、3階建てと同様に基礎や屋根が必要で、住宅設備もキッチン、バス・トイレなど不可欠なものが多いため、延床面積が半分になるからといって、予算が半分で済むわけではない。

 中堅ビルダーや中小の工務店なら1000万円台でも可能なところもあるが、大手ハウスメーカーなら2000万円から3000万円は見ておいたほうがいいだろう。その点は、事前にしっかりと見積もりをとって確認することが大切だ。