プロローグ/欧州情勢不安定化
欧州では今年(2024)9月と10月に多くの選挙が実施され、極右が台頭。欧州情勢は混沌としてきました。
ドイツでは9月に3州で州議会選挙が実施され、ネオナチ極右AfD(ドイツのための選択肢)が躍進。
オーストリア(墺)では9月29日に総選挙(下院/計183議席)が実施され、下馬評通り、移民反対を掲げる親露派ネオナチ極右政党『墺自由党』が29.2%の得票率で第一党に躍進。
中道右派の政権与党『墺国民党』は第二党(26.5%)に沈みました。
しかし過半数を制した政党はなく、墺大統領は第二党になった国民党に連立組閣交渉を要請しました。
10月26日にはジョージア議会選挙が実施され、親露派与党『ジョージアの夢』が過半数を制し、勝利。
10月20日に実施されたモルドバ大統領選挙では過半数を制した候補がでず、11月3日に上位2候補による決選投票が実施され、親欧米派のM.サンドゥ候補が勝利しました。
注目の11月5日の米大統領選挙では事前の接戦予測とは異なり、D.トランプ候補の圧勝となりました。
来年1月26日はベラルーシ大統領選挙が予定されていますが、これは現職A.ルカシェンコ氏圧勝の構図です。
ロシア軍が2022年2月24日にウクライナに全面侵攻開始してから11月18日でプーチンのウクライナ侵略戦争は999日目となり、11月19日に1000日目を迎えます。
短期決戦・勝利のはずが長期戦となり、ウクライナ戦争はプーチン大統領(72歳)にとり誤算の連続となりました。
ちなみに、筆者はウクライナ戦争におけるプーチン大統領最大の誤算は、ウクライナ侵攻開始後、油価(露ウラル原油)が下落したことだと考えております。
油価はロシアの生命線です。
油価下落により財政が悪化して、ロシア経済は戦争経済に突入。戦争長期化に伴い、ロシア軍・ウクライナ軍ともに兵器不足・兵員不足が表面化しました。
今後ウクライナ戦線では降雪季節となり、軍用車輛の軍事行動にも制限が出てくるものと推測します。これが、今回10月のロシア軍大攻勢の背景かもしれません。
プーチン大統領と北朝鮮の金正恩総書記は今年6月、露朝軍事同盟「包括的戦略パートナーシップ」を平壌で調印。
この条約は、ロシアでは10月24日に露下院採択、11月6日上院承認、9日にプーチン大統領が署名して批准されました(北朝鮮でも批准成立)。
この軍事同盟がプーチン・金正恩両氏にとり吉と出るか・凶と出るか、今後の戦況が注目されますが、筆者は両独裁者にとり諸刃の剣になると考えます。
ウクライナ東部2州では露軍の猛攻が続いており、露クルスク戦線では露・朝枢軸軍5万人に対し、ウクライナ軍が防衛しています。
北朝鮮軍のクルスク戦線投入により、露クルスク州に進軍したウクライナ精鋭部隊はウクライナ東部2州への転進が不可能になりました。
ウクライナ東部戦線も燃えています。
ウクライナ東部兵站補給要衝の地クピャンスクでは既に戦闘開始、ポクロウシクとクラホベにはロシア軍が指呼の間に迫っており、クピャンスクやポクロウシク、クラホベなどがロシア軍に占領されると、ウクライナ軍は総崩れとなる可能性大です。
一方、ウクライナ軍が防衛に成功すれば、油価が低迷している今日、ロシア軍の戦費や兵站補給に支障がでてロシア軍の継戦能力低下は不可避と筆者は予測します。