第7部:ロシア原油・天然ガス生産量概観(2024年1月~9月度)
都合の悪い情報は隠す。都合が悪くなった情報は開示停止。
これは情報操作の基本動作にて、ロシアはこの基本動作を忠実に守っています。ゆえに、開示されている情報よりも開示されていない情報、開示停止された情報の方が重要な意味を持っています。
ロシアでは2023年4月26日付け露政令「#1074-r」により、2023年3月度分から原油生産量が発表停止となりました。
当初1年間の時限立法措置でしたが、今年に入りさらに1年間延長されました。
世界最大のガス会社、露ガスプロムも昨年から自社天然ガス生産量発表を停止しました。
今年に入り、石油製品生産量も非開示となりました。これは、石油製品生産量低下を示唆しています。
石油製品減少が何をもたらすかと申せば、国内燃料価格の上昇とインフレ高進です。
生産が順調であれば情報隠蔽は不必要にて、減少しているので情報非開示にしたと理解するのが合理的です。
これこそ欧米による対露経済制裁措置の効果であり、最近のウクライナ軍による石油精製所へのドローン攻撃の結果とも言えるでしょう。
この状態が長期化すれば、露経済のさらなる弱体化は必至です。
露プーチン大統領は核使用に言及しました。換言すれば、これはロシア国家の弱体化を別の言葉で表現したものと筆者は理解します。
「戦況の泥沼化・長期化により、核使用に言及せざるを得ない状況までプーチン大統領は追い込まれている」と理解することが正鵠を射ていると考えます。
露連邦統計庁は今年10月23日、今年1~9月度鉱工業生産指数と主要商品生産量を発表。
現状公開されている石油・石炭・ガス関連統計数字は下記の通りにて、石油(原油と石油製品)・ガス生産量に関してはほぼブラックボックスとなりました(bcm=10億立方メートル)。
生産量が低下している石炭も、早晩発表停止になるかもしれません。