2023年に新幹線駅開業20周年を迎えた品川駅2023年に新幹線駅開業20周年を迎えた品川駅(写真提供:ZUMA Press/共同通信社)

 今、品川エリアが熱い。2003年、東海道新幹線・品川駅開業前後の再開発により、大規模なオフィスビルやタワーマンションが続々と誕生。東京駅に次ぐ首都圏の玄関口となっているが、2030年代にはリニア中央新幹線、東京メトロ南北線の延伸によって、さらなる発展が期待されている。品川エリアの魅力や住みやすさについて、住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。(JBpress編集部)

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リニア開業によって巨大な経済圏が誕生する

 品川駅には、JR東日本の山手線・京浜東北線・東海道線・横須賀線の各線、JR東海の東海道新幹線、それに京急本線が乗り入れている。

 1日の平均乗車人員は、JR東日本管内では渋谷駅に次ぐ6位。東海道新幹線は、開業後に開設された駅としては最高の乗車人員を誇る。また、京急線管内の乗車人員は横浜駅に次いで2位となっている。

 日本屈指の巨大ターミナル駅である品川だが、今後はさらなる発展が期待されている。

 その最大の要因が、リニア中央新幹線の開業が2030年代に予定されていることだ。始発駅の品川駅から名古屋駅まではわずか40分、大阪駅までも67分で移動できるリニアが開業すれば、東名阪がひとつの都市圏として結ばれる。ちなみに、現在の在来線では東京駅から立川駅まで40分ほどかかるため、いかにリニアが早いかが分かるだろう。

リニア中央新幹線の車両リニア中央新幹線の車両(写真:共同通信社)

 JR東海のデータによると、リニア開業によって東名阪の三大都市圏の人口は6600万人を超え、GDP約320兆円の巨大な経済圏が誕生する。先進国でいえば、フランス一国のGDPを上回る規模だ。全線が開業すれば、内外からの注目度が高まることはもちろん、インバウンドの増加や新たな経済発展の起爆剤となることは間違いない。

 このリニア中央新幹線、すでに品川駅の建設も進んでおり、当初は2027年には名古屋までの開業が予定されていた。しかし、静岡県の前知事が県内の工事を認めなかったこともあり、開業は予定よりかなり遅れることになりそうだが、今後は順調に工事が進むのではないかと期待されている。

リニア中央新幹線「品川駅」の工事状況を説明するJR東海の担当者リニア中央新幹線「品川駅」の工事状況を説明するJR東海の担当者(2024年11月4日、写真:共同通信社)

 2024年7月、当時の岸田文雄首相が、「大都市圏を結ぶ新たな交通網の早期構築は重要。早ければ2037年の全面開業を想定し、必要な支援などを行っていく」と発言し、開業に向けた機運が一層高まっている。

 政府の後押しなどを受け、リニアの全線開業が2037年に実現すれば、名古屋までは2030年代の早い時期に開業できるのではないかと見られている。