タワマンブーム終焉か?ついにタワマンブーム終焉か?(イメージ写真:yoshi0511/Shutterstock)

 かつては希少性から人気を集め、即日完売する物件も少なくなかったタワーマンション。最近はあちこちでタワマンを見かけるようになり、以前のような人気はなくなりつつある。それだけに新築販売時に人気を集め、竣工後も高い資産価値を維持するためには、タワマンというだけではないプラスアルファの価値が求められる時代になっている。では、どんなタワマンが評価されるのか。住宅ジャーナリストの山下和之氏がレポートする。(JBpress編集部)

>>【グラフ】首都圏の超高層マンション発売戸数と契約率の推移、ほか

契約率70%が好不調の採算ラインと言われるマンション

 民間調査機関の不動産経済研究所は、毎月首都圏や近畿圏の新築マンションの発売動向を調査している。その中で注目しておきたいのが月間契約率だ。その月に発売された新築マンションのうち、契約が成立したマンションの割合を示す数字で、一般的には70%が好不調の採算ラインと言われている。

 新築マンションの多くは建築着工後間もなく販売が始まるので、初月に7割方売れれば竣工までにはまず完売できるとの計算が成り立つ。70%を超えれば好調で、80%、90%なら絶好調だが、70%を切ると不調とされ、50%以下なら絶不調ということになる。

 首都圏新築マンション全体の2023年度(2023年4月~2024年3月)の契約率の平均は69.9%で、前年度比0.4ポイントのダウンだった。70%をわずかに切っているとはいえ、まずまずの水準と言っていいのではないだろうか。

 その中で気になるのが、20階建て以上の超高層マンション(タワーマンション)の動向である。別掲の【グラフ1】にあるように、2024年4月の首都圏タワマンの発売戸数は120戸で、契約率は48.3%にとどまっている。採算ラインの70%を切っているどころか、50%にも届かない厳しい結果だった。


拡大画像表示

 契約率はその月にどんな物件が販売されたのかなどの状況によっても大きく変化するので、タワマンの契約率50%割れも一過性の結果に過ぎないのではないかと思いたいところだが、実はそうとも言えない。