10年前は高い契約率を維持していたタワマンだが…

【グラフ1】の黄色の折れ線グラフを見ても分かるように、人気を集めた大型物件が発売された月には月間1000戸近くのタワマンが発売され、契約率が90%近くに達した月もあるが、その合間には50%割れの月が顔をのぞかせる。2023年10月には28.1%と3割を切ったこともあるほどだ。折れ線グラフの上下動の波が大きく、売れる、売れないがはっきりしている。

 それに対して、まだタワマンの希少性が高かった2012年4月から2014年4月までの2年間のタワマンの発売戸数と契約率を調べた結果が【グラフ2】だ。


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 契約率を示す黄色の折れ線グラフが【グラフ1】とは明らかに異なっているのが一目瞭然だろう。やはり月による変動はあるものの、極端にブレるわけではなく、この2年間で一番契約率が低かった月でも59.5%と6割近い水準を維持している。2013年3月~2014年2月までは70%以上を確保し、90%前後の高い契約率の月も多かった。

 特に、2012年4月~2014年4月までの2年間の超高層マンションは、マンション全体より高い契約率を維持しており人気が高かったが、2022年4月からの2年間は、むしろマンション全体より契約率が低い月も多くなり、大きく様変わりしている。

 これはタワマンが急増して希少性が失われた結果、「タワマンだから」というだけで売れる時代ではなくなっていることを物語っている。

 それだけに、発売時に人気を集め、完成後も高い評価を得て資産価値を維持していくためには、タワマンにプラスアルファの付加価値、その物件ならではの独自の魅力を持っていることが重要になってくる。