(写真:mon_printemps_fleuri/イメージマート)
  • 2023年の出生数(速報値)は8年連続の減少で75.8万人と過去最少となった。
  • 作家の楡周平氏は2023年に『限界国家』(双葉社)を上梓。人口減少が加速した30年後、日本は国家全体が限界集落化する“限界国家”になる、と論じている。
  • 急速に進む少子化に楡氏は「驚きはない。そう遠くない未来に韓国並みになってしまうだろう」と危惧する。インタビュー前編では、日本の少子化を楡氏がどう分析しているかを聞いた。(JBpress)

(湯浅 大輝:フリージャーナリスト)

後編:「政財界トップは爺さんばかりでうんざり。高齢者向け医療は過剰」楡周平氏が語る少子化【出生数75.8万人の衝撃】

少子化は国難だ

──2023年の出生数が過去最低になりました。この数字をどう見ますか。

楡周平氏(以下、敬称略):感想も何の驚きもないといいますか「そりゃあそうだろう。何の対策も打っていないに等しいんだもん」とコメントするほかありませんよ。今日は小説家として、いろんな論者が分かっていても立場上言えない、あえて言わないことを言おうと思って来ました。

 少子化は日本が抱えている最大の問題です。人口は市場規模そのものですから、経済成長は望めませんし、日本語という言語も、伝統文化の多くも、50年後には消えているかもしれません。

──岸田首相は少子化トレンドの反転は2030年までがラストチャンスだ、と発言しました。

楡 周平(にれ・しゅうへい)
1957年岩手県生まれ。慶應義塾大学大学院修了。米企業在職中の96年に発表した国際謀略小説『Cの福音』がベストセラーになる。97年退社し、執筆活動に専念。『朝倉恭介』シリーズや『無限連鎖』などサスペンス小説のほか、『再生巨流』など経済小説を手掛ける。近著に『ラストエンペラー』『食王』『デッド・オア・アライブ』がある。(写真:弦巻勝)

:「異次元の少子化対策」を含め、過去の政府の少子化対策がいかに意味のないものであるかは後ほど(後編)話すとしましょう。それよりも、なぜ日本ならびに先進国で軒並み少子化が進んでいるか、その根本的な原因を分析するのが先です。

 私が考える原因は次の3つ。