理詰めで部下を追い詰める「ナゼナゼ虫」(イラスト:きしらまゆこ)
  • あなたの仕事がうまく回らないのは、職場に巣食う「害虫」のせいである――。全体最適のマネジメント理論TOC(Theory of Constraints=制約理論)の第一人者、岸良裕司氏(ゴールドラット・ジャパンCEO)が、会社を停滞させる構造的な問題を害虫に見立て、その特徴と対処の仕方を、実例を基に伝授する。
  • 第13回は、「なぜ?」「なぜ?」としつこく責め立てる「ナゼナゼ虫」。生産現場のカイゼン活動では益虫とされてきたが、多くの職場で害虫となり問題を引き起こしている。
  • 理詰めで部下を責める「パラハラ上司」と認定され、メンタル問題を多発させることも。「なぜ?」を繰り返し問うことよりも大切なこととは?(JBpress)

 (岸良裕司:ゴールドラット・ジャパンCEO)

名称:ナゼナゼ虫
職場へのダメージ:★★★★★(最恐)
主な生息地: パワハラ上司の周辺、メンタル問題が多い職場に生息する。「なぜ?」「なぜ?」と恐ろしい鳴き声がするので発見は容易である。
特徴:もともとは生産現場において「なぜ?」を5回唱えることで根本問題を発見する益虫であったが、工場の外に出て変異し、「なぜ?」「なぜ?」を繰り返し、人を追い詰め、メンタル問題を引き起こす最恐の毒虫として知られるようになった。発見したら即退治することが大事である。
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人を追い詰める「ナゼナゼ虫」

「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」「なぜ?」

「なぜ?」を5回問うことで、根本的な問題を見つけ出し、問題解決をする。その手法はいまや日本のみならず、世界中の生産現場で行われているすばらしいカイゼン活動だ。だが、もし、その問いがあなた個人に向けられたら、どうだろう? 

岸良 裕司(きしら・ゆうじ)  ゴールドラット・ジャパン最高経営責任者(CEO)
全体最適のマネジメント理論TOC(Theory Of Constraint:制約理論)の第一人者。2008年4月、ゴールドラット博士に請われて、イスラエル本国のゴールドラット・コンサルティング・ディレクターに就任。主な著書・監修書は『ザ・ゴール コミック版』(ダイヤモンド社)、『優れた発想はなぜゴミ箱に捨てられるのか』(ダイヤモンド社)、『子どもの考える力をつける3つの秘密道具』(ナツメ社)など。東京大学MMRC 非常勤講師、国土交通大学 非常勤講師、国際学会発表実績多数。

 つい、言い訳をしたくなるのではないだろうか。でも、言い訳を口にすると「言い訳するな!」と上司はさらにパワハラまがいに責め立てるようになる。こんな職場には「ナゼナゼ虫」が侵入している可能性が高い。