日本人が見せつけられた「爆買い」のパワー

 客から店員まで、私以外はほぼ全員、中国人。彼らは一様に、頬を紅潮させていた。「何があったんですか?」と、横に立つ中国人のオバサンに中国語で聞くと、彼女は顎(あご)をしゃくり上げて、前方を指し示した。

 見ると、大きな雛壇の上に「春節福袋」が並べられていた。それぞれ値札が掛かっていたが、中央に「鎮座」する巨大な福袋には、「888万8888円」の札!

 さらに驚いたのは、その右隣だった。「666万6666円」の札だけが掛かっていて、福袋が消えていたのだ。「もしかして、中国人観光客が買ったんですか?」。再度、横のオバサンに聞くと、今度は顎を上からゆるりと下げて、ポツリと言った。「剛才啊」(ガンツァイア=ついさっきよ)。

 他にも、銀座のそこここで、驚愕の光景を目にした。4丁目の三越デパートでは、1階化粧品売り場で、女性店員の背後に多数立てかけてあった高級化粧水を、中国人女性が指さして「あれ下さい」。そう言いながら、1mくらい指を左から右に動かし、50本以上「爆買い」していた。

秋葉原では電気製品、銀座ではブランド品や高級化粧品が中国人観光客に人気だった(写真:アフロ)

 銀座8丁目の寿司屋では、中国人カップルがカウンター席に案内されるや、眼前の板前に、「オ・オ・ト・ロ!」と言って、紙に「15」と書いて見せた。隣席の私がきょとんと見ていると、15貫並んだ壮大な「大トロ艦隊」の端の1貫を、彼氏がニッと歯を見せて私に分け与えてきた。