富士山ローソン(写真:YAO23/Shutterstock)
  • ローソン店舗の建物に富士山が乗っかっているように見える……。そんな「映えスポット」に訪日観光客が殺到し、大騒動を巻き起こしています。
  • 町は歩道に「黒幕」を張り目隠しすることで「映え」なくする対策に出る方針ですが、それがまた騒動を大きくしました。
  • そもそも日本人と訪日観光客とではメンタリティーにギャップがあります。落語からオーバーツーリズムへの対処法を考えてみましょう。

(立川 談慶:落語家、著述家、筋トレ愛好家)

【写真16枚】「富士山×コンビニ」、ローソンのほかセブン-イレブンやファミリーマートも

「富士山ローソン」なる言葉が、ネット空間を駆け巡っております。山梨県富士河口湖町にあるコンビニエンスストア・ローソンを正面から撮影すると、その背後にそびえる富士山がまるで、ローソンの建屋に帽子のように乗っかっているようなユニークな構図になるというのです。それがインスタグラムなどのSNSで人気を博し、世界的な「映えスポット」として、外国人観光客が殺到したとのこと。

 そして、それがさらなる騒ぎを巻き起こします。写真を撮りにきた観光客がゴミを撒き散らしたり、道路の真ん中に立って撮影して交通妨害をしたり、近隣住民にとって大迷惑な事態が発生。苦情が寄せられた富士河口湖町は大胆な対策を余儀なくされました。

富士山を目隠しするための「黒幕」の設置工事(写真:ロイター/アフロ)

 その対策とは高さ約2.5メートル、幅約20メートルの「黒幕」を歩道に設置するというもの。歩道から富士山を見えなくしてしまえば、写真も撮れないので観光客も来なくなるだろう、という発想ですが、これがまたSNSの住人を刺激。賛否両論を巻き起こしました。報道によると、黒幕は5月末までに設置を完了するそうです。

 知らぬ間に世界的な映えスポットとなってしまったローソンの本部は5日、謝罪に追い込まれました。「近隣住民の皆様や店舗ご利用のお客様、その他多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしていることを心よりお詫び申し上げます」とコメントを発表した上で、4日から独自に多言語表記による道路の横断禁止の簡易看板を設置したことを明かしたほか、公衆マナー遵守を他言語表示で呼びかけたり、専属の警備員を配置したりすることも検討しているとのこと。

 いやはや、大変な事態ではありませんか。