違法賭博に関与した疑いがある水原一平氏(左)と、ドジャーズの大谷翔平選手(右)(写真:AP/アフロ)
  • 米ドジャーズの大谷翔平選手の通訳として知られていた水原一平氏の違法賭博問題が世間を騒がせています。
  • 6億円を超える巨額の資金を大谷選手の銀行口座から送金した疑惑を持たれていますが、水原氏は「ギャンブル依存症」だったと告白したとされます。
  • ギャンブル=賭博にハマる人物を描き、笑いにしてきたのが落語です。そこには、誰もが陥る可能性がある「依存症」に社会が向き合うための知恵があります。

(立川 談慶:落語家、著述家、筋トレ愛好家)

 先月、寝耳に水のような驚きのニュースが海の向こうから入って来ました。米ドジャーズの大谷翔平選手の通訳だった水原一平氏による「巨額窃盗疑惑」であります。

 大谷選手の銀行口座から違法賭博業者に大金が振り込まれたという事件は日本のみならず世界中を驚かせています。違法賭博の沼にハマった水原氏が莫大な借金を抱え、返済のために不正な送金をしたのではと疑われています。

立川談慶(たてかわ・だんけい) 落語家。立川流真打ち。
1965年、長野県上田市生まれ。慶應義塾大学経済学部でマルクス経済学を専攻。卒業後、株式会社ワコールで3年間の勤務を経て、1991年に立川談志18番目の弟子として入門。前座名は「立川ワコール」。二つ目昇進を機に2000年、「立川談慶」を命名。2005年、真打ちに昇進。慶應義塾大学卒で初めての真打ちとなる。著書に『教養としての落語』(サンマーク出版)、『なぜ与太郎は頭のいい人よりうまくいくのか』(日本実業出版社)、『いつも同じお題なのに、なぜ落語家の話は面白いのか』(大和書房)、『大事なことはすべて立川談志に教わった』(ベストセラーズ)、『「めんどうくさい人」の接し方、かわし方』(PHP文庫)、小説家デビュー作となった『花は咲けども噺せども 神様がくれた高座』(PHP文芸文庫)、『落語で資本論 世知辛い資本主義社会のいなし方』など多数の“本書く派”落語家にして、ベンチプレスで100㎏を挙上する怪力。

 水原氏が大谷選手の口座にアクセスして送金することは可能だったのか…。なぜ違法ブックメーカーは水原氏に450万ドル(約6.8億円)もの大金を貸したのか…。様々な疑問が浮かびますが、詳細は明らかになっておらず、臆測が飛び交っております。

 とにもかくにも、大谷選手が全幅の信頼を置き、名通訳として評判を博した水原氏のもう一つの顔が徐々に明らかになっていくのでしょう。裏切られた大谷選手の心境を思うと一人のファンとして複雑な感情が湧いてきます。