1961年10月、大阪球場で顔を合わせた巨人の長嶋茂雄と南海の野村克也(写真:共同通信社)
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10年間で優勝7回、巨人一強が確立された1960年代

 アマ球界最大のスターだった長嶋茂雄の入団、驚異的と言っても良い大活躍、それにも優るスター性、カリスマ性によって、プロ野球は一躍、ナショナル・パスタイム(国民的娯楽)になっていった。

 そして、その過程で、読売ジャイアンツ=巨人は、一プロ野球チームではなく、プロ野球そのものと言ってよい影響力を持つに至る。

 巨人の圧倒的なステイタスは、1960年代に確立されたと言ってよい。

 まず、巨人は圧倒的に強かった。

 1960年代(1960年~69年)のセントラル、パシフィック両リーグの通算成績を見てみよう(「位」はリーグ戦の平均順位)。

<セントラル・リーグ>
巨人:772勝539敗35分 率.589 リーグ優勝7回/日本一7回/1.6位
阪神:693勝619敗35分 率.528 リーグ優勝2回/2.5位*
中日:676勝639敗28分 率.514 リーグ優勝0回/3.4位
大洋:629勝678敗35分 率.481 リーグ優勝1回/日本一1回/3.7位
広島:585勝720敗47分 率.448 リーグ優勝0回/4.8位
アトムズ:574勝734敗40分 率.439 リーグ優勝0回/4.9位*
*阪神は大阪から阪神に球団名称を変更
*アトムズは国鉄、サンケイからアトムズと名称変更

 巨人は10年間で実に7回のリーグ優勝、そしてすべて日本シリーズにも勝利している。監督はこの間、水原茂から川上哲治に交代する。2位の阪神より79勝も多い。6球団のうち3球団は優勝がなかった。

<パシフィック・リーグ>
南海:765勝575敗41分 率.571 リーグ優勝4回/日本一1回/2.2位
東映:686勝656敗38分 率.511 リーグ優勝1回/日本一1回/3.2位
西鉄:682勝657敗54分 率.509 リーグ優勝1回/3.2位
ロッテ:675勝666敗44分 率.503 リーグ優勝1回/3.8位*
阪急:669勝675敗35分 率.498 リーグ優勝3回/3.3位
近鉄:548勝796敗28分 率.408 リーグ優勝0回/5.2位
*ロッテは、大毎、東京からロッテ

 巨人に対抗しうるパの強豪チームは、大監督・鶴岡一人率いる南海だった。しかし巨人ほど圧倒的ではなく、近鉄を除く5球団がリーグ優勝を果たしている。阪急は1963年に就任した西本幸雄監督の元、チーム力が強化され、南海と覇者交代が進もうとしていた。

1964年2月、南海ホークス監督時代の鶴岡一人(写真:共同通信社)
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