巨人戦の年間平均視聴率は、1965年頃から20%前後をずっとキープしていた。年によってもちろん浮き沈みはあったが、V9が終わった1975年頃からむしろ上昇に転じ、25%を超えた年もあった。この高水準が1990年頃まで続くのだ。

 ほぼ確実に高視聴率が計算できる超優良コンテンツに対し「改革の機運」が起こるはずもない。

巨人戦の放映権料で稼ぐセの球団

 この時期のプロ野球球団は、3つのビジネスモデルからなっていた。

 巨人は、130試合のうち、主催試合65試合の「放映権料」を、グループの日本テレビや一部他局から受け取っていた。それ以外に連日満員の後楽園球場の入場料収入などもあったが、それらが巨人を含む読売グループに莫大な収益をもたらしていた。

 巨人以外のセ・リーグの5球団は、巨人戦の主催13試合の「放映権料」を放送局から受け取り、それを主たる収益としていた。巨人戦では多くの観客が入ったが、それ以外の試合は数千人で、収益は微々たるものだった。極端に言えば、巨人戦だけで球団が維持できている状態だった。

 そして巨人戦のないパ・リーグでは、赤字が常態化していた。